新越谷 例えば、優秀な野球選手がいたとして、落合博満とかイチローとかかな、自分の身体をイメージ通りに操作できるんだと思うんですよね。頭で思ってることと、身体の動きに齟齬がないというか。スピードとかバットの軌道とか、ステップの位置とか、そういうものを寸分も狂わずにコントロールできる。でも、そのスイングとかバッティング技術に、生まれ落ちて育まれた魂が乗ってるなんてことはないわけですよ。別の脳みその部分が異常に発達してるということだと思う。そういうイメージに近いんですよね。分析と実行の正確性みたいなもの。

編集S 漫才の話ですよね。

新越谷 そう。だから、たぶんくるまみたいな漫才師って過去をさかのぼっても、なかなかいないと思う。言いたいことなんかひとつも言ってないのに、どうみても、くるまという人間がしゃべってるようにしか見えない。くるまがどういう人間かなんて、全然わからない。変な話、国崎とか川北よりわからない。なんだあいつ。

編集S 今後の令和ロマンに期待するところってあります?

新越谷 連覇。

編集S 来年も『M-1』に出てほしいと。

新越谷 いろいろ難しいところもあると思うんですよ。出場するとなったら今年のウエストランドみたいにプロモーション稼働しまくるとか、そういうこともできなくなりますし。15年の新『M-1』以降、王者は即『M-1』卒業になってるじゃないですか。でも、まだ6年目だし、ネタなんかいくらでも書けそうだし、連覇してほしいなぁ。

編集S 将来的にはどうなっていくんでしょうね。

新越谷 なんか、消耗するイメージがないんですよね。さっきも言ったけど、魂と別のところでお笑いやってる感じがするので、削られる感じがしない。

編集S でもほら、バラエティで先輩に剥がされたりみたいなこともあるじゃないですか。

新越谷 そのへんもなー、くるまよりその場の正解を持ってる先輩って、なかなかいなそうじゃないですか。『チャンスの時間』の「ブレイキングダウン」のパロディ企画に出たときも、千鳥さえ結局くるまに頼っちゃってたし。あれも衝撃的な立ち回りだったと思うし、ある意味で異能者だと思う。で、粗品より頑丈そうだし、いい意味で手抜きもできそう。

編集S 要するに、なんですかね。

新越谷 新世代の天才ってことでいいんじゃないですかね。簡単な言葉ですけど。