Q.夫に育休をとってもらう メリット・デメリットは?

A. メリット:体力的・精神的な余裕UP。デメリット:金銭的な余裕DOWN。

(解説)
近年、育休(育児休業)を取得する男性が増えています。厚生労働省が公表している「令和3年度雇用均等基本調査」によると2021年度の男性の育休取得率は13.97%と2016年度の3.16%に比べると約4.4倍も増加しています。

仕事と育児の両立を推進するために国がさまざまな支援をしていて、企業が男性従業員に積極的に育休をとってもらおうとする取り組みもじわじわと広がってきました。

ただ本当に夫に育休をとってもらうべきなのか、普段通りの勤務を続けてもらったほうがいいのか、悩んでしまう人もいるでしょう。そこで今回は、夫に育休をとってもらうメリットとデメリットを整理してみました。

夫が育休をとるメリット

・夫婦で家事や育児を分担できる
・夫の「父親」としての意識がアップする
・妻の「産後うつ」を防ぎやすくなる

産後のダメージが残る身体かつ1人で赤ちゃんの面倒を見るのはとても大変です。しかし家事や育児を夫婦で一緒に取り組めば妻側の体力的・精神的な負担も減りますし、夫側も育児に積極的にかかわって子どもの成長を近くで見届けることが期待できます。

育休中に夫の家事&育児スキルが上がっていれば将来共働きに戻るときも難なく役割分担ができスムーズに進めやすいでしょう。

夫が育休をとるデメリット

・育休中は収入が下がる
・育休をとるからといって夫が育児に協力的とは限らない
・夫の出世への影響や職場の人への引き継ぎの問題

男性の育休が浸透してきたとはいっても夫の職場環境によっては、迷惑がられるなど育休がとりにくい雰囲気がある場合もあります。また育休取得による収入ダウンも気になるところ。なかには「育休をとったのに家事も育児もせずにダラダラしている夫を見て嫌気がさす」といったケースもあるようです。夫が家事や育児に協力的でないと育休をとる意味が薄れてしまいます。

育休制度について知っておこう

育休を検討するなら育休をとれる期間とその間の収入についても知っておきましょう。

・育休をとれる期間
育休をとれる期間は、男性・女性にかかわらず原則「子どもが満1歳になるまで」です。夫婦ともに育休をとると「パパ・ママ育休プラス」という特例の対象となり「満1歳2ヵ月になるまで」に延長できます。

さらに「保育園に入れない」などの事情がある場合は、最長で「満2歳になるまで」育休の取得が可能です。会社によっては「満3歳になるまで」などより手厚い制度を用意している場合がありますので、就業規則などで確認してみましょう。

2022年10月以降は、育休とは別に「産後パパ育休」として「子の出生後8週間以内に4週間まで」休業できるようになります。

・育休中の収入
休業中、勤務先からの給与がゼロでも雇用保険から「育児休業給付」の支給があります。支給額は、休業前の月収の67%程度(3分の2程度)です。育休取得後6ヵ月を経過すると50%になります。

育児休業給付は、普段の給与と違って税金もかかりませんし厚生年金保険料や健康保険料が天引きされません。そのため手取りでいえば約80%になるイメージです。

誰がどれくらい育休をとるか、夫婦でよく相談して決めよう

「本格的に子育てにかかわる貴重な機会だから、ぜひ育休をとりたい」という人もいれば、「これ以上収入が下がると生活に支障が出るから働きたい」という人もいるでしょう。

最終的に夫が育休をとるかどうかは、育休に関する制度やメリット・デメリットを把握したうえで、夫婦間でじっくりと話し合って決めるのがおすすめです。

「育休を取得する」と決めたら休業中の仕事の分担などもありますので、早めに職場の上司に相談しておきましょう。

ちなみに育休は、会社に制度がなくてもとれます。例えば「育休をとりたい」と言っているのに会社が拒否したり「男のくせに育休なんて」「育休をとったから降格」といったハラスメントを行ったりすることもNGです。堂々と育休取得の主張をしましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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