■2010年 第10回大会
この大会をもって、『M-1グランプリ』が終了すると告知されていた大会。9年連続9回目のファイナル出場となった笑い飯が優勝するか否か、その一点に注目が集まっていた。ファーストステージは笑い飯と、連覇を狙って敗者復活から上がってきたパンクブーブーが668点で並ぶ激戦。笑い飯が最後の『M-1』でついに優勝を果たし、有終の美を飾った。
・沖縄からすごいのが来た
沖縄出身者として初のファイナリストとなったスリムクラブ。ここ数年、4分間にいくつのボケを詰め込めるかという勝負になりつつあった『M-1』に湿った南風で風穴を開けた。
どこか悲劇を連想させる独特のワードセンスと、徹底的なスローテンポ、そして沈黙。誰も見たことのない漫才がそこにあった。そうして最終決戦に進んだスリムクラブは、もう誰もが真栄田賢のワードを待っているという確変状態に。ネタ序盤から全弾が当たる当たる。
・14本目の笑い飯
9年間で5回目の最終決戦に進んだ笑い飯。初出場から数えて、『M-1』で14本目のネタとなる。そのすべてがWボケのスタイル。第2回には1,756組だったエントリー数は、4,835組にまで膨れ上がっていた。笑い飯のネタとして特別な出来ではなかったように見えたが、ネタ後の「もう頼むわぁ~」という西田のコメントがすべてを現していた。
・4本目のパンクブーブー
このリズムでこの言葉をハメれば人は笑う、というどこか正解じみた漫才で前年優勝を果たし、この年もファーストステージでは笑い飯と並ぶトップ通過。後に『THE MANZAI』(フジテレビ系)も制したパンクブーブーの安定感は群を抜いている。だが、その不安のなさが裏目に出た。スリムクラブの何を言い出すかわからない不安感、笑い飯の2本目がややコケで今年も優勝を逃してしまうのかという不安感、その後に登場した「いつもの」パンクブーブーに票は入らず、笑い飯4票、スリムクラブ3票という結果に終わった。
結局、笑い飯が優勝したから後味がいいのか、スリムクラブという新風を勝ち切らせることができなかったから後味が悪いのか、ともあれ、『M-1』は終わりを告げる。
(文=新越谷ノリヲ/【2015-2018】へ続く)