◆150年以上前に詠まれた和宮の胸の痛みがドラマを通じて伝わる

「空蝉の唐織ごろもなにかせむ 綾も錦も君ありてこそ(このきれいな唐織衣も、あなたがいない今、何の役に立ちましょう)」は、実際の和宮が残した有名な和歌。20話ラストでの和宮の姿は、物語の世界を通して、150年以上前に詠まれた女性の本当の胸の痛みを伝えるようだった。

公武合体のために徳川へと迎え入れられた和宮だったが、降嫁したのは弟の身代わりになった和宮=親子(ちかこ)だった。しかもそれは、母の愛を自分のものにしたかった和宮の願いから始まったものだったが、真相を知ってなお、家茂は和宮に優しく接する。そんな家茂を、和宮も受け入れていく。