「おまえの背中がどんどん遠くなっていく」
「おまえの翼をもいで、低く飛ばしてるときがあるよ」
「うまみだけを俺が持っていく物語なんて、1ページ目で破りたい」
「残念な自分に飽き飽きした家の日々」
「人に迷惑かけながら生きてもいいですか?」
「原曲キーで歌わせて、俺は原曲キーで生きたいんだ」
唐突で、珍妙で、切実なせいやの歌唱は10分も続いた。最初は茶化しながら耳を傾けていた粗品の表情も、真剣なものになっていく。当時、『ANN0』は動画配信サービス「ミクチャ」で同時配信されていた。
せいやが告白したのは、驚くほどストレートな粗品に対する劣等感だった。粗品のようにはできない。ずっと無理をしてきた。このままでは壊れてしまう。だから「原曲キーで歌わせて」。
おそらくは粗品に対して、ラジオにギターを持ち込んでしか明かせなかったせいやという芸人の本当の本音だろう。リスナーという限られた仲間と共有することでしか、言えなかった泣き言だろう。
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