『霜降り明星のオールナイトニッポン』という番組は、これまで何度もコンビの風景を生々しく描写してきた。特にせいやにとって、2020年の秋頃は芸人人生を左右するほどの局面だった。

 18年の年末に『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)を制した霜降り明星は、20代半ばにしてバラエティの荒波に足を踏み入れた。その翌年には「お笑い第7世代ブーム」が世の中を席巻し、そのフラッグシップとして2人は躍進していく。いくつもの冠番組や特番が雨後の筍のように乱立し、薙ぎ払われるように消えていった。

 せいやは20年夏ごろから、精神に不調をきたすようになっていく。楽屋での笑顔が消え、かつて“飛んだ”経験のあるナインティナイン・岡村隆史やキングコング・梶原雄太の「気持ちがわかる」と繰り返すようになる。『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(テレビ朝日系)では、収録中にもかかわらず、あからさまに孤独を吐露することもあった。

 そうした経緯を、せいやはすべてラジオで告白した。粗品はときに明るく、ときに静かに、その話を聞き続けた。20年11月13日、限界の近くなったせいやは『ANN0』の生放送スタジオにギターを持ち込み、「原曲キーで歌わせて」というオリジナルソングを披露する。