孝道とりっちゃんの出勤は毎日午後11時半。孝道は自転車通勤だが、りっちゃんは自転車で転んでから、タクシー通勤だ。りっちゃんはいざ店内に入れば威勢よく場を取り仕切るが、2階にある店に向かうための階段を上るのもつらそうで、夫婦は引退も考えている。しかし、客からは続けてほしいと懇願されているという。
「クイン」を訪れる客も個性的だ。週末に現れるケイコは普段は会社員をしているが、女装をしてクラブで踊ることにハマり、新宿に部屋まで借りる熱の入れよう。飲んで踊ったあとに「クイン」のドライカレーを食べ、一息つく。
25歳で塾講師をしている葵は家族との間にわだかまりがあり、高校生の頃から一人暮らしをしている。父親と血がつながっていないことを小学校高学年で知り、また、母親も忙しかったようで、ご飯はお金を渡され、オリジン弁当で買うことが多かったと話す。
名物ママであるりっちゃんの人柄や、孝道の作る魚系のおかずに惹かれ「クイン」を訪れる葵だったが、ある日、葵はお金を下ろすのを忘れ「クイン」で飲食をしてしまい、撮影していた番組スタッフにお金を借りて支払おうとしたことが、りっちゃんの逆鱗に触れる。金を貸そうとしたスタッフや、店にいた周りの客が葵の分は自分が払う、と言ったのも良くなかったようで、葵が近所のコンビニにお金を下ろしに行くまで、また行った後も、りっちゃんの怒りは冷めやらぬようだった。