しかし、こういった番組が増えることを危惧する声がないわけではない。

「酒を飲んで酔っ払えば、ガードが緩くなって思わぬ発言が飛び出す場合もある。そこが酒を飲んでトークする番組の醍醐(だいご)味ですが、一歩間違えば、芸能人が酔ってダラダラとしゃべる場面を見せられるだけになりますし、構成や進行も基本的にタレントに丸投げで、ハッキリ言って“手抜き”ですよね。それでも誰もがやりたがるのは、制作費がとにかく安いから。スタジオ収録なら簡単なセットで済みますし、居酒屋でやればいよいよお金はかからない。宣伝になるので居酒屋に使用料を払う必要はなく、スタッフも数人いれば十分で、『酒場放浪記』の制作費は1回30万円だそうです。それでもDVDや本が売れ、イベントをやれば数百人が集まるのですから、笑いが止まりませんよ。ただ、酒飲み番組はいわば“毒まんじゅう”。数字は稼げるかもしれませんが、あれでは面白い番組を作る能力は養えません。テレビ界では散歩番組が大ブームですが、あちらも面白くなるかどうかはタレントの腕次第。“素の姿を見せる”といえば聞こえは良いですが、結局はテレビマンに知恵がなく、タレントに成否を委ねてしまっているだけです」(キー局関係者)

 制作側もたまには酒を飲みながらプランを練ってみると良いかもしれない。