◆不倫相手の妻と息子から、信頼を得つつある深愛

 多感な時期のハルキが自分に好意を寄せていることを理解しているのかしていないのか、あるいは那須川以外の男は目に入らないのか。深愛のハルキへの態度は曖昧だ。

 後日、深愛は、那須川の妻ふみこ(戸田菜穂)が、かつては賞もとったことのあるグラフィックデザイナーだったと知る。深愛のおかげで病んだ心がかなり癒やされてきたふみこだが、かつて自分のデザインを上司に盗られたことで傷つき、命を懸けていた仕事を手放したと打ち明ける。そんなときに出会ったのが那須川だったのだ、と。

『泥濘の食卓』
 一方、ハルキをとことん愛している幼馴染のちふゆ(原菜乃華)は、「オレ、好きな人がいるんだ」と言った彼の言葉から、さまざまな同級生や知り合いを想定してみたのだが、誰だかわからずイライラしている。彼女には、自分のやりたい仕事などの夢はない。「仕事なんて何でもいい。私はハルキと結婚して、一緒に住んで死ぬまで一緒にいる」と決めている。