岩井が「結婚に興味がなかった」と言えば、「そうなんだな、価値観って変わるんだよね」と、すぐさまフォロー。「結婚しないって言ってたじゃん!」と騒ぎ立てるファンへの牽制である。
岩井が「澤部には前日に教えたもんね、言ってないもんね」と言えば、「言えよ!」と不満を漏らしつつ「よく前日に教えてくれたよね、(ネタはいつも当日に教えられるから)俺もうれしかったよ。知らせんの早! となったね」と、「相方への結婚報告が前日」という事実が2人にとって異常なことではないことを明示し、コンビの関係性に対する疑念を解消していく。「前日まで言わないなんて、仲悪いんじゃないの?」という、結婚のニュースを見ただけでハライチをよく知らない人への説明である。
例を挙げればきりがないが、こうして澤部は、岩井がいかにスムーズにしゃべれるか、その真意が正確に伝わるかに腐心し、時に岩井に寄り添い、時に世間の側に立って岩井を突き放しながら、その経過を聞き出していく。
澤部という芸人は、リアクションのプロだ。テレビでのドッキリはもちろん、そもそもハライチの代名詞である「ノリボケ漫才」も、○○なやーつ、という岩井のフリに対してほぼアドリブでノリボケを披露し続けるという構造であり、この即興性こそが澤部の真骨頂といえるスキルである。
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