難しいのはこの報告を受け取る澤部佑のほうだ。無論、澤部は世間に賛否両論があることを知っている。今回の結婚報道を肯定的にとらえるファンからは「岩井の言葉を正確に引き出してほしい」という期待を集め、悪口を言いたいだけの否定的な野次馬は、澤部がいかに“一般常識”に沿って岩井を“指弾”するかを見定めようとしている。「澤部、どんな感じでやるんだ?」と興味津々に耳を傾けた私も、どちらかといえば悪いリスナーの部類に入るだろう。
かくして、この日の『ハライチのターン!』は通常通り「今週のネコちゃんニュース」から始まる。『ターン!』唯一の継続的なコーナーで、国内外のネコに関する他愛ないニュースを、ネコ好きの岩井が、さも重大ニュースのように伝えるという内容だ。普段なら、澤部も適当に相槌を打ってタイトルコールに進むところだが、この日の放送では、この後にコンビにとっての本当の重大ニュースが待っている。岩井はその状況を面白がって、無駄にネコちゃんニュースを引き延ばそうとしている。このネコちゃんニュースを切り上げるタイミングも、澤部のサジ加減だ。早すぎれば空気が悪くなるし、遅すぎれば肯定派・否定派の両方から不満を買うことになる。
「うーん、もういいです!」
ネコちゃんニュースをしゃべり続ける岩井に対し、普段より少しだけ不満げな澤部が徐々に我慢できなくなり、腹を据えかねたように、「もういいです!」。インタビュアーの仕事は、世間を背負うことだ。この日の澤部に課せられた仕事は、相方とコンビの世間的なイメージを守りながら、「世間」として岩井に真相を問うという両極端の性質を持っている。その意味で、絶妙なタイミングでの「もういいです!」だった。
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