さら地にすると固定資産税が増える?

(写真=Artazum/Shutterstock.com)

空き家を維持するにも「固定資産税」がかかります。この固定資産税は、その土地の実際の評価額から決められるのではなく、「課税標準額」という独自の評価額を用いた計算式で算出されます。

固定資産税=課税標準額×1.4%(税率、全国一律)

ポイントは、どのような状態で維持するかによって税額が変わること。しっかりと理解していないと、知らないうちに税額負担が増えてしまうこともあるのです。

それでは、詳しく見ていきましょう。

1.小規模住宅用地の場合

固定資産税には「住宅用地の特例」という制度があり、住宅用として使われている敷地のうち200平方メートルまでは土地の固定資産税が減額されます。

課税標準の1/6までに減額されるため、住宅がある人にとって、かなりの優遇制度と言えますね。都市計画税がかかる場合は、この税額も課税標準の1/3に減額されます。しかし、これらの特例は「住宅等が存在していること」が必要である点が最大のポイントです。

2.一般用地の場合

「住宅用地の特例」制度で、住宅用として使われている敷地のうち、200平方メートルを超えた部分にかかる土地の固定資産税を減額するというものです。

課税標準の1/3に減額されます。都市計画税もかかる場合は、この税額も課税標準の2/3に減額されます。

1の小規模住宅用地で対象にならない残りの敷地について、こちらの特例が適用されるという仕組みですね。しかし、この特例も「住宅等が存在していること」が必要である点がポイントです。

3.さら地の場合

敷地に建物が存在しない土地、いわゆる「さら地」には「住宅用地の特例」が適用されません。これは言うまでもなく「住宅等」が存在していないためです。

そのため、さら地の固定資産税額は「課税標準額×1.4%」となり、都市計画税もかかる場合は「課税標準額×0.3%」が税額となります。これだけで考えると、「住宅用地の特例」がある場合と比べて大幅な増額になりそうです。

4.特定空き家に指定された場合

「特定空き家」に指定された場合は、たとえ敷地に「住宅等」が存在していても、固定資産税の減額対象とならないことがあります。

どのような状態の建物が「特定空き家」の対象になるかというと、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態」「著しく衛生上有害となる恐れのある状態」などで、これに該当すると「特定空き家」となります。

「特定空き家」に指定され、改善指導を受けても放置した場合には、最終的に固定資産税の「住宅用地の特例」制度を受けられなくなります。そうなると、固定資産税は6倍にもなってしまう可能性もあるため、「特定空き家」に指定されるのは避けたいものですね。