年金額をシミュレートしてみよう

学歴と収入の差は、将来受け取れる年金にどのような影響を与えるのでしょうか。「最新データ!令和元年の学歴別初任給」の項で算出した学歴別の年収から年金額をシミュレートします。

表4:学歴別年金のシミュレーション(月額)  単位:円

高校卒 高専・短大卒 大学卒 大学院修士課程修了
年金月額(試算) 181,000 187,000 181,000 176,000

高校卒と大学卒では、生涯賃金には大きな差があるものの、将来的に受け取れる公的年金の額にはさほど差がありません。ただし、このデータは初任給をベースにしているため、昇進などで途中収入が大幅に増えた場合には、受け取れる年金額も大きくなります。

最大月7万円の差!学歴で差が出る年収を埋める方法は

ここでもう一度、表1を見てみましょう。

表1:初任給からシミュレーションした学歴別の年収と高校卒との年収差   単位:円

初任給×12ヵ月 高校卒との年収差
高校卒 2,008,800 0
高専・短大卒 2,206,800 198,000
大学卒 2,522,400 513,600
大学院修士課程修了 2,866,800 858,000

学歴別の初任給では、高校卒が16万7,400円、大学院修士課程修了では23万8,900円と約7万円の差があります。年収に換算すると約86万円の差です。高校卒と大学院修士課程修了では、単純計算すると、5年で430万円、10年で860万円、20年で1,720万円もの収入差が生まれてしまうのです。

年数を重ねるごとに広がる生涯賃金の差を埋めたいのなら、早い段階で収入を上げられるように何らかの対策を行う必要があります。

学び直しで給与アップ

月収・年収を増やす方策として、社会人大学院などでの学び直しで現在雇用されている会社での給与アップを目指す方法があります。経営、法律、マネジメントなど、会社に必要とされているスキルの取得や作業効率の向上が昇進・昇給につながる可能性があります。

これから多くの職業で求められるであろう、AI関連の知識を有することで、AIを管理するような新たな役職に就けることもあるでしょう。

また、内閣府の調査では、自己啓発を行った社員と行わなかった社員の年収には有意な差がありました。自己啓発を行った社員は、自己啓発を行わなかった社員よりも年収が10万円以上多くなったそうです。いくらかを学びに投資して、必要な知識とスキルを得ることが昇進や転職によるキャリアアップの近道かもしれません。

また、社会人になってから学びの場に積極的に足を運ぶことで、思わぬ人脈が形成できることもあります。知り合った時には分からなくとも、数年後に人生に大きな影響を与える人だったと気づくこともあるでしょう。

副収入でコツコツ

コツコツと副収入を増やしていくのも手です。なるべく手間がかからないものを選択したいのなら、一度保有したら長期間売却することのない、長期投資を始めてみましょう。

リスクを集中させないよう投資商品を分散しつつ、長期投資を心がければ、リスクを抑えながら複利の効果を得られる可能性があります。

長期投資とは、数時間や数日間で売買を繰り返すのではなく、数年単位で投資商品を保有し続ける投資スタイルを指します。例えば株を短期間でトレードしていくスタイルでは、すぐに利益を上げられる可能性があるのと同時に、思ったように株価が伸びず短期間で損をしてしまうリスクもあります。

ところが1年、10年、20年と株を保有していると、投資期間が長くなるにつれ収益率は安定する傾向にあります。投資についてあまり詳しくない、毎日毎時間決まって株価をチェックするのは負担になると考えている人は、長期投資から始めてみましょう。

また、長期投資には「複利」というメリットがあります。複利は元本に対してついた利息をさらに元本と合わせて運用し、元本と利息を増やしていくというものです。

その年の利息を翌年に元本に回す方法で長期投資を続けることができた場合、どのくらい資産が増えていくのでしょうか。

運用利回り4%の投資商品で、200万円を20年間運用したとします。毎年順調に4%の利益が出たなら、10年後には約300万円、20年後には約444万円にまで資産が増えることになります。

もし、毎年8%の利回りをキープできる投資商品があったとしたら、20年でおよそ1,000万円近くの利益を出せるかもしれません。

初期投資額が200万円で、毎月3万円を20年間積立投資したとするとどうなるでしょう。この場合、利回り4%で約1,550万円、8%では約2,750万円まで資産が増加する可能性があります。

学び直しをしている間に投資で副業を行っていけば、生涯賃金の差を埋められる可能性も高くなるでしょう。ただし、どのような投資でも損をするリスクがあることも覚えておきましょう

思い切って起業してみる

事業のアイデアがあるのなら、起業を視野に入れてもいいかもしれません。ただし、起業をしても成功する保証はありません。まずは「週末起業」から始めて、起業の感触を確かめてみましょう。

週末起業とは、会社を辞めることなく最小限の資金で起業し、会社の休日を社長業に充てる起業の方法です。この方法なら、リスクを抑えながら給与以外の収入が得られます。

思ったよりも利益が出たときや、今後も継続して利益が出せそうだとなったときに本格的に起業すれば、事業が失敗に終わる確率をより小さくできます。

キャリアと収入のどちらも手に入れたい、自分のやりたいことを仕事にしたいという願いがある人は、週末のみの稼働で起業し、手ごたえを感じられたら週末起業から起業家へとステップアップする道のりを歩んではいかがでしょうか?

現状よりも少し上を見て努力することが大切

新卒から退職・引退までに得られる生涯賃金の学歴による差を埋めるためには、具体的に行動して収入を増やす努力をする必要があります。

今の自分に必要だと感じられる資格や知識を得るために学び、投資などで資産を増やしつつ副業や週末起業にチャレンジしていけば、学歴による収入差・生涯賃金の差も埋めることにつながるでしょう。

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