22年10月放送の『ぺこぱポジティブNEWS』(テレビ朝日系)では、ぺこぱとモグライダー・芝大輔が「売れた元地下芸人」として、虹の黄昏、ゆーびーむ☆、ウエストランド・井口浩之の「現役の地下芸人」3人の悩みを聞くという逆転現象も見られた。虹の黄昏とゆーびーむ☆は地下芸人界のキング&クイーンという立ち位置で問題ないところだが、井口はれっきとした『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の元準レギュラーであり、『M-1』優勝前の当時でも、どちらかと言えば「ライブ出演にも積極的なテレビタレント」という立場だった。あの『いいとも!』フィナーレにも顔を出していた井口より、ぺこぱと芝のほうが華とスター性があったという理由で、そうした構図が作られたことは想像に難くない。

 かくして、「地下芸人」という言葉はここ数年、テレビの世界を浮遊している。テレビがその定義に求めるのは、言ってしまえば「夢のなさ」や「貧乏くささ」であって、なおかつテレビ的に“ヤバい”発言はしない程度の対応力も同時に必要となる。正真正銘ゴリゴリの地下芸人だった野田クリスタルでさえ、ジム経営やゲーム制作の実績に加えて『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のタライ落とし泥酔号泣事件よって白日の下にさらされた育ちの良さもあって、「地下」というイメージからはかけ離れてしまった。

 誰が地下で、誰が元地下なのか。局側も視聴者側も、いまいちつかみ切れていないのが現状だろう。

 そんな中、24日深夜放送の『ランジャタイのがんばれ地上波!』(テレビ朝日系)で、改めて「地下芸人」という概念を叩きつけるような企画が放送された。