SMILE-UP.の東山紀之社長は「法を超えた救済や補償が必要」としていたが、補償額については判例などを意識した額になるのだろうか。相場通りといえばそうだが、一部では「性行為なしの場合の設定額が安すぎる」「悪質な性犯罪は補償額が1000万円を超えることもあるのに、未成年で最高額500万円はおかしい」といった指摘もある。
これに対して、被害者側であるジャニーズ性加害問題当事者の会は、副代表の石丸志門氏が今月初めに出演したライブ配信で「これまでの日本の判例に従ったような金額では納得しません、やはりグローバルスタンダード、海外で起こった場合と同じレベルの金額を要求します」と断言。「私たちがお金を得ないと、あとの人たちが(補償の)値段を下げられてしまう。(抑止力として)性犯罪を起こしたらこれだけ痛い目を見るんだ、会社が廃業になるくらいなんだという前例をつくらないと。ここで私たちが手を緩めるわけにはいかない」とし、高額補償を求める方針であると強調した。
アメリカでは、2018年にミシガン州立大学のスポーツ医だった男が女子体操選手ら300人以上に性的暴行などをしていたとして、大学側が総額5億ドル(約750億円)の損害賠償金を被害者たちに支払うことで合意。一人当たり2億2000万円以上という巨額の賠償金で大きな注目を集めた。
2020年にはアメリカ最大のボーイスカウト団体が破産申請したが、これは設立以来100年以上にわたって少年らへの性的虐待が繰り返されていたことが明るみになり、訴訟が相次いだことで賠償金を保護するための破産申請だった。資産の売却などによって10億ドル(約1500億円)以上の補償費用を捻出するとしたが、ニューヨーク・タイムズは被害の訴えが計8万件以上、賠償総額は少なくとも24億5000万ドル(約3670億円)にのぼると算出している。