「1stステージ前半」「1stステージ後半」からつづく

■ニッポンの社長「手術」

狂気一辺倒に見えるが、この日の『ベストワン』でビスブラが披露した彫り師のネタと似た構造で、専門家に無茶をされてダメージを負っているクライアントが、身動きが取れないゆえに強引にそれを止めさせることができないというジレンマを描いたコント。

要するに、おそらく2人の関係性の原型はさまぁ~ずが発明したといわれる美容室ネタで、そのひとつの発展形なのだが、医者が手術中に患者の内臓を「出しすぎる」という着想からして、どこから降ってくるのか全然わからなくてすごい。「前髪、切りすぎじゃね?」が「出しすぎじゃね?」になっているということ。内臓出しすぎってなんだ。

美容室の設定に比べれば、より患者側に動きの制約が大きく、パワーバランスが一方的になりそうなところ「全身麻酔が切れる」という不条理を観客に飲み込ませることと、辻が異様な冷静さと寛大さを見せることで成立させている。

そういう強引さと緻密さ、ぶっ飛んだ発想と計算された段取り。そういうものがきちんと両輪で走っているからこそ、今回の「パワーこそすべて」みたいな流れの中で、しかも準備に時間がかかって不利に働く間があったにもかかわらず、ちゃんとウケてる。すごい。