■カゲヤマ「料亭」

はい、めちゃくちゃ笑いました。それにしてもトップにカゲヤマがくるとは思わず、「カゲヤマ!?」とテレビの前で叫んでしまった。

このネタの成功は、ふすまの中の益田を発見したタバやん。が「おしり!?」と言ったことにあると思う。ド下ネタでありながら、ギリギリの線でファニーになったのは、「全裸!?」だったり「フルチン!?」ではなく「おしり」だったからだろう。

観客の目線では確かに「おしり」だが(それでも直感的な違和感はあるが)、実際にタバやん。の目線に立てば、そこには中年男性上司の全裸土下座という痛々しい姿があるわけで、本当に謝罪の気持ちがある彼の心情を追うなら「何してんすか!?」からの「謝罪相手の反応は……?」であるはず。その心情のリアルよりも、見る側の目線を誘導することを優先しての「おしり」。このコントは人物の機微を追って共感を誘うものではなく、異様な状況を風景として楽しむものであるという、観客の意識の舵取りを意味する「おしり」。力ずくでそこに持っていった脚本の強さと、益田のシンプルな体型の強さを感じた。

■ニッポンの社長「フランス」

「カゲヤマの次にニッ社!?」と、またびっくり。

ケツが痛みを感じないという設定は2021年の「バッティングセンター」と通じるもので、その異常さをエスカレートさせた上でシンプルな設定に落とし込んだネタ。初手からナイフでも笑えてしまうのは、ケツの丈夫そうな見た目はもちろん、ある程度ケツのキャラクターが定着していたということでもあると思う。その意味で、決勝に何度も上がっていたことがメリットになっている。

ナイフ、拳銃、ショットガン、手榴弾、地雷と小道具ボケの手数は多くないが、最初のナイフだけで5分尺の半分である2分30秒を使っている。ここが芝居で「もつ」のが2人の最大の強みだと思う。辻が冒頭で不自然に大きい荷物を持っているのも、「空港」というワードが出た瞬間に馴染んでしまっていて、これも計算だったのならすごい。