3.養育費

「養育費」とは子どもが一人前になるまでにかかる費用のことで、具体的には生活費や教育費、医療費などです。離婚しても、親として子どもを扶養する義務は消えません。子どもと同居していない親は、養育費を支払うことで離婚後も扶養義務を果たすことになるのです。

社会的・経済的に自立して暮らしていくことができない状態にある子どもを「未成熟子」と言います。親は未成熟子に対して扶養義務があり、離婚後もそれは変わりません。注意したいのは、未成熟子=未成年ではないこと。例えば、障害があるなど、自力での生活が難しいとされる子どもの場合は、成年に達しても未成熟子に含まれます。

一般的に養育費は成人になるまでというケースが多いものですが、高校卒業まで、あるいは大学卒業までのような取り決めをすることもあります。

養育費として月々にいくら、いつまで支払うのか。さらに、進学時など特に大きなお金がかかるときの負担はどうするかなど、養育費に関する条件は離婚時にきちんと取り決めておくべきでしょう。

養育費の額や期間、支払い方法については夫婦間で自由に決めることができます。話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所での調停・審判で「養育費・婚姻費用算定表」などをもとに養育費を算出します。

バツイチ男性にとって、養育費は大きな経済的負担になります。実際、再婚して新しい家庭を築き生活していくためにまとまったお金が必要になると、養育費の支払いが滞ってしまうケースは少なくありません。養育費についての取り決めを公正証書にしている場合、勝手に支払いをやめたりすると、強制執行を受けて給与や預貯金を抑えられてしまう可能性も。

ただし、再婚や転職などによって養育費による経済的負担が重くなった場合は、家庭裁判所の調停・審判で減額を申し出ることもできます。

そして、離婚時に妻側から「自分1人で育てられるから養育費はいらない」「養育費なしで面会もなし」と言われていても、あとになって事情が変わることは十分考えられます。

時効のある慰謝料や財産分与と異なり、養育費の請求はいつでもできるもの。「やっぱり養育費を支払って」と請求してくる可能性もあるということです。

結婚後の経済的リスクとは?

(写真=stable/Shutterstock.com)

現時点での経済的負担はそれほど大きくなくても、油断は禁物です。バツイチ男性との結婚では、将来的な経済的負担が生じる可能性もあることを頭に入れておかなければなりません。

年金分割

「年金分割」とは、婚姻期間中の保険料の納付記録を分け合うことで、将来受け取る年金の額が再計算されます。年金分割をすると、収入の多い側は将来受け取れる年金額が減り、収入の少ない側は逆に増えることになります。

年金分割の対象は厚生年金(2015年10月1日より前の共済年金も含む)で、離婚後2年以内に請求の手続きを行う必要があります。慰謝料や財産分与だけでなく、つい忘れがちな年金についてもきちんと確認しておきましょう。

実際に年金分割を受けられるのは年金の受給が始まってから。まさに忘れた頃にやってくるのが怖いところですね。