◆しらふで観ていたら「心が四面楚歌になった」
紅葉の葛藤も見ていて辛い。紅葉は表面的な人間関係しか築くことができず、“紅葉だから”と言ってくれる友達はいない。そのことを自覚していながらも「友達でいたい」という気持ちが強く、学生時代のグループLINEで同窓会の話が持ち上がった時には率先して幹事に立候補する。
また、旧友の梅田から電話がかかってきた際、梅田から「これからサシで飲まない?」と念願の2人組でのお誘いを受けて笑顔になるも、すぐに「良いお水あんの、すっごい良いお水なの」と言われてセールス電話だと気づき、すぐに表情が曇るシーンは心臓に悪い。
紅葉が健気さを見せれば見せるほど、自分が誰からも選ばれなかった時のことを思い出す。紅葉の報われない姿に自分を重ね、思わず目を背けたくなる。ただ、被害者ヅラばかりではなく、「自分も知らず知らずのうちに、紅葉のような人を蔑(ないがし)ろにしたことがあるのでは?」という不安感にも襲われ、心が四面楚歌になった。
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人間関係を真っすぐに描いた内容となっており、しらふで観るにはかなりハード。それでも、主人公たちがどのように葛藤を乗り越え、成長していくのか楽しみでもある。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki