◆間違ったことを、あえて言ってみる
「思春期の子どもたちには『コレ、間違ってるんだろうな』と思いながら本音を誰かにぶつけてみる、ということがよくあります。社会の常識もわかりつつあるけど、それに対する反発を自分のなかに抱えている。それを言語化し、相手から『それは違うよ』といわれて、頭ではなく体験として納得する。または、口に出した瞬間に『あ、これ違うな』と自分で気づく。こうした体験って、思春期においてものすごく重要です」
おおたさんは、灘高の授業でもそんなシーンを目の当たりにした。
「生理について話し合っているとき、男子生徒から言葉の端に若干の思い込みが表れている発言がありました。これも言った瞬間に、彼らは気づいていたようです。失敗といえば失敗ですが、中高生の時期はトライ&エラーを繰り返しながら成長していくものだし、そこから、『それ違うんじゃない?』『みんなで話してみようよ』と議論を広げることもできます。
ただ、クラスに異性がたくさんいる環境では、まず本音を口にするのをためらうし、言った瞬間に総スカンをくらうかもしれない」
それは、10代の子どもにとって怖いことだろう。性、ジェンダーについて学び考える場では、異性のグループがいないほうが発言しやすい、リラックスして参加できる、そして身につきやすいこともある、というのは想像にかたくない。
「全国の学校で性教育の講義をしている方のお話では、男子校では講義中のリアクションがいいそうです。一方、共学では男子がずっとうつむいて聞いている。特に恋愛や性の話となると、同じ空間に恋愛対象がいたり、もしかするとフラれたばかりの相手がいたりするので、リアクションしにくいんでしょうね」
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