◆パズルを解いていくような物語

 本作で紡がれるのは石巻、大阪、帯広、東京というそれぞれの地で、13年にわたり出逢いと別れを繰り返す4人の男女の物語だ。

 3つの時代の視点が入れ替わるテクニカルな構成ながら、理路整然とした語り口であるため混乱せずに観られるだろう。

 そこから浮かび上がってくるのは、「その瞬間だけ」では不可解だった誰かの気持ちを「わかろうとする」ことの尊さだった。現在(あるいは未来で)「なんでこんなことになっているんだろう」「この人は何を思っていたんだろう」と思える不可解な謎があるのだが、それらは過去に遡ることでじわじわとわかっていく。

 断片的なピースをひとつひとつはめていって、やがて大きな真実と、それぞれの登場人物の想いがわかる。そんなパズルを解いていくような物語を楽しんでほしい。