コロナの影響だけではなく、テレビ局に求められるコンプライアンス意識も、ここ数年で大きく変化している。この日、「うんこ」と「チ○コ」に対する松丸友紀アナウンサーのリアクションを、カメラは一度も抜かなかった。セクシャルに最大限配慮しつつ、肛門に指を入れ合い、股間を撮影し合うという社会的ルールから逸脱しきった企画を成立させてみせた。

 しかも、4年前とまったく同じスタンスとクオリティでだ。待っていた、これを待っていたんだ。

 この夜は、『ゴッドタン』の真裏でTBS・藤井健太郎の『オールスター後夜祭23秋』、深夜3時からはテレビ朝日で、加地倫三が取り仕切る『霜降りバラエティX』が放送された。『後夜祭』は大量の芸人を呼んでお祭り騒ぎを演出し、『霜バラ』の「せいやvs熊元プロレス」には、未来の「西野vsひとり」もしくは「山崎vsモリマン」を造ろうという意思を感じることができた。

『ゴッドタン』が「自粛明け」を宣言したこの週末の深夜に、くしくも現在のバラエティを象徴する3人の制作者が揃い踏みし、それぞれの笑いを届けた。

 移りゆく時代の中で、変わらないものがあるとすれば。

 人を楽しませたい、笑わせたい。テレビの奥から聞こえてくるその声だけは、どうか。

 そう信じたくなる夜だった。

(文=新越谷ノリヲ)