制作側だけではない。出演者たちにも、この間にさまざまな変化が訪れていた。

 西野は20年末に自ら製作総指揮・原作・脚本を担当した映画『えんとつ町のプペル』を公開し、200万人近くを動員。興行収入27億円のスマッシュヒットを飛ばした。翌年には吉本興業を退社。その後の多方面にわたる活動は、お笑いを離れ、誰も具現化したことのない、想像すらしていない領域へ飛躍していこうとしているように見えた。

 一方の劇団ひとりも、21年には東京五輪開会式に出演したほか、Netflix映画『浅草キッド』で脚本・監督を担当し、映画人としての評価を確かなものにした。ラジオ『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)で爆笑問題・太田光に「お笑いと映画、どっちかしかできないなら、どっちを取るんだよ?」と詰められ、しばし迷った後に「映画かな……」と答えたこともあった。

 客観的に見て、もう2人ともテレビ東京の深夜で互いの尻に指を入れ合って「くっせ~!」などと転げ回る格の芸能人ではなくなっていた。 だが実際に対決が始まると、2人の実績そのものが大きなフリになった。文化人枠に片足を突っ込んだ40代の中年2人が、嬉々として「うんこ」と「チ○コ」に熱狂していた。