最初の頃は、このコラムを書くという仕事は僕にとって本当に難しく、めちゃくちゃ苦労した記憶がある。芸人時代やお芝居も含めて僕が書く文章は口語体、つまり口で話すような文章がほとんどだった。なので口語体の文章を書くことには慣れているものの、逆に文語体のような書き言葉で文章を書くことに慣れていなかったのだ。元々僕が本が好きで文章慣れしていればこんな悩みは無かったかもしれない。
しかし残念ながら僕はディスクレシア(識字障害)の傾向があり、書くことは出来るのだが文章を読んで文字の意味をすぐに理解することが出来ず、読むという行為に対してかなり体力を消耗してしまうのだ。例えば洋画などを字幕で見た場合、字幕の意味を理解することに時間がかかり、ほとんど映像を見れなかったりもする。なので文語体の基礎らしきものが僕の体には備わっておらず、人が読む為の文章を書くということが困難だったのだ。
ちなみに自分が書いた文章を読むことも出来ないので、誤字脱字も多い。本当ならこんなポンコツな元芸人の記事など1、2回見てもういいやとなりそうなものだが、僕を担当してくれた編集長の平野さんのお陰で何とか3年以上もやることが出来た。
ここからは平野さんに対しての感謝を綴るブロックにする。元々平野さんはお笑いが大好きで、若かりし頃にライブなどへ足を運んでいたような人物だ。そんな平野さんは僕がコラムを書くことになったとき、とても喜んでくれた。芸人に対してのリスペクトを持っていて、元芸人に対してもそのリスペクトの姿勢は変わらない。なので書く側のモチベーションも上がりっぱなしで、どうやったらもっと良い記事が書けるのか、どうやったらもっとサイゾーに貢献できるのかということを常に思いながらコラムを書くことができた。
ただ芸人にリスペクトを持っているからといって甘やかすわけではない。読者からの需要と、コラムを書く側のキャラクターやバックボーンを踏まえつつ、書く側がそれに見合わないものを書いたり、需要が低いものを書こうとすると、きちんと理由と共に指摘をし、ライターとして間違った方向へ行かないようにしてくれた。