今思えば当時の僕はうつ症状が発症し始めた時期だった。なぜかというと、2019年に僕が主宰している劇団において心が傷ついてしまう出来事があり、演劇をすることが少しだけトラウマのようになって何も手につかない状態に陥っていたからだ。
しかし劇団員たちの後押しもあり、新しい台本を書き上げ、2020年に今までとは形が違う公演をすることにした。公演本番まであと少しのところでコロナ禍により公演中止。それが起爆剤となり、やる気とは裏腹な行動をとるようになり、前に進みたいけどしゃがみ込んでいるようなそんな感覚になった。気が付くと夜寝ていても10分くらいで起きてしまうような不眠状態になってしまっていた。さらに今までなら飛びついていたような仕事のチャンスも棒に振ってしまう有様。
明らかに自分が自分でないということに違和感を感じ、思い切って病院へ行ってみると、やはり「鬱」と診断されてしまったのだ。僕的には「やっぱりか」という気持ちと同時に、何か先が見えないトンネルに入っているような不安にも襲われたのだ。
そんなとき、先述したように芸人時代の後輩からこのコラムの仕事の話が来たのだ。お笑いや芸能関係に特化したコラムを書いてほしいと言われたのだが、僕は少し迷っていた。元々コラムなど書いた経験がなく、自分が出来るかどうかもわからない。さらにその時の僕は本来の僕ではなく、せっかく頂いた仕事も完遂出来ない状態にあったからだ。ただこのチャンスはもしかしたらトンネルの出口に繋がっているかもしれないと思い、ほぼ二つ返事でやらせていただくことにしたのだ。
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