ルラ大統領は「南米のトランプ」と言われたボルソナロ前大統領の再選を阻んで当選した。民主党政権にとっては外交上、極めて重要なリベラル派大統領だ。ルラ大統領は伸ばしかけた腕を振り回して不快感をあらわにしていた。

 バイデン大統領が高齢不安をどう払拭するのか、今後の選挙戦略の重要なポイントになるが、バイデン大統領の選挙戦からの撤退を予想する声も出始めた。 実際、過去の大統領選で、再選を目指した大統領が本格的な選挙戦を展開しながら、途中で撤退したケースはある。

 1968年の大統領選で再選を目指したリンドン・ジョンソン元大統領は、予備選に突入した後の1968年3月に選挙戦から撤退した。ベトナム戦争の只中で民主党内の反戦派と激しい指名争いをしていた。ベトナム戦争への反発から支持率が急落したことや健康上の問題などが撤退の理由だが、ジョンソン氏を引き継ぐ形でヒューバート・ハンフリー副大統領が大統領選に参入し、民主党の指名争いで勝利した。本選では共和党のリチャード・ニクソン氏に破れた。

 ジョンソン元大統領はケネディ元大統領が暗殺されたため、副大統領から大統領になった。1968年の大統領選ではロバート・ケネディ・ジュニアの父、ロバート・F・ケネディ元司法長官が民主党候補者レースに名乗りをあげ、選挙期間中に暗殺されている。

 大統領の大統領選からの撤退の先例としてあげられる1968年の大統領選は、今回の大統領選と因縁めいたものがある。無風と言われる民主党の指名争いが、無風で終わるという保証はない。