というわけで、今週の第1位は、ジャニーズ事務所前社長、ジュリーのハワイ逃亡と1000億円といわれるジャニー喜多川、メリー喜多川から受け継いだ「相続」についての不可解な謎に挑んだ文春に捧げる。
ハワイのオアフ島の空港から車で約20分。ワイキキビーチから、徒歩5分の絶好のロケーションに立つのは「トランプタワーワイキキ」だそうだ。
5時間近くの会見直後、ジュリーが向かったのは、羽田空港の国際線ターミナル。ホノルル行きの航空機に飛び乗ったジュリーがたどり着いたのはトランプタワーだったという。
「実はジュリーさんはこの高層階にコンドミニアムを所有しているのです」(ジュリーの知人)
ジュリーはこの一室を2011年に推定約5億5000万円で購入しているという。ここで娘と一緒にリラックスして楽しんでいたそうだ。
それ以外にも、ジャニーズ事務所名義でダイヤモンドヘッドに一軒家を所有していたといわれる。
「ジャニーさんはシェラトン・ワイキキの最上階のスイートを年間貸切りしていた。ジュニアを連れて、一緒にここに泊まっていました」(ジャニー喜多川の知人)
そう、ハワイはジャニーズジュニアたちの「性加害」の現場ともなっていたのである。
元ジャニーズJr.の大島幸広は13歳だった。1998年10月にジャニー喜多川に連れられて、約10名のジュニアとともにシェラトン・ワイキキに滞在したという。
マガジンハウスが出している雑誌『Myojo』のための撮影だった。
ジュニアたちはホテルで朝食をとると目の前のワイキキビーチに飛び出していった。だが大島だけが、「ユー、ちょっと待って」と呼び止められた。
「午前中からジャニーさんにヤられるんです。ことが終わると、『行っちゃいな』と解放される。ハワイだとジャニーさんは普段より欲望丸出しというか。一日一回どころじゃなかった」
そう大島は語っている。
「メリー氏が元気なときは、ジュリ氏とマガジンハウスなど仲の良い出版社の幹部数人とで、ホノルルのフレンチで食事をする会もあった。一時はゴルフも習っていたので、こっちでもやっていたんじゃないかな」(親子を知る人物)
出版社の幹部は誰なのかわからないが、ジャニー喜多川やメリー喜多川と親しかった中には、こうしたジャニー喜多川による「性加害」を知っていた者もいるのではないか。
ジュリーたちの会見に先立ち、外部専門家による再発防止特別チームが、性加害問題の背景に同族経営の問題があると指弾した。そしてジュリーは代表取締役社長を辞任した上で、「解体的出直し」を図るべきだと提案していた。
だが、ジュリーは代表取締役に居座った。そこには、800億円を超える税金問題が絡んでいると、文春は指摘する。
2021年にメリー喜多川が亡くなると、メリーの株はジュリーに渡り、彼女は全株を保有することになった。
秋山清成税理士の算出によれば、ジュリーが収めるべき株の相続税は860億円と推計できるという。
だが、この巨額な相続税をジュリーは支払っていない。ウルトラCによって支払いを免れているそうなのだ。
国税庁関係者が、「ジュリー氏は『事業継承税制』の特例措置を使っている」と種明かしする。
事業承継税制とは一体、何か? 板倉京税理士が解説する。
「近年、後継者不足を理由に黒字廃業する中小企業が後を絶たない。そこで国は、二〇〇九年から中小企業の事業継承を後押するため、『事業継承税制』を導入しました。二〇一八年にできた特例措置が適用されれば、株式の相続税や贈与税が猶予され、実質ゼロにできるのです」
そのためには代表取締役に座り続ける必要がある。
「相続税をゼロにするには、申告期限の翌日から五年間、代表取締役を務めないといけません。(中略)なぜ、五年間かというと、後継者育成に最低五年は必要とされているからです。(中略)つまり二〇二五年五月まで、ジュリー氏は代表取締役を務める必要があるのです」
なぜ、年間売り上げが1000億円ともいわれるジャニーズ事務所が中小企業なのか? 実は、設立以来ずっと資本金は1000万円に設定されているから、中小企業扱いとなっているのである。まさに税制の抜け穴をついた究極の節税対策である。
もし今回ジュリーが代表取締役を辞任していたら、特例措置の認定が取り消しになり、それまで猶予されていた相続税に利子分を加えて納付しなくてはいけないという。
「ジュリー氏が代表取締役に留任した最大の理由は、税金逃れに他ならない。このまま彼女は、性加害の被害者補償を名目に、二〇二五年五月まで時間稼ぎをするつもりでしょう。
事業承継税制を申請すること自体は何ら違法ではないが、きちんと自分で説明すべき。税金逃れを隠して『被害者への補償・救済』へと目的をすり替えるのは、悪質と言わざるを得ません」(板倉税理士)
10月2日に、社名変更を含めて、社の方針を発表するというジャニーズ事務所だが、根本にある同族経営の問題から逃げていては、信頼回復などできるはずはない。(文中敬称略)