職場の悩みとして多く挙げられるのは、上司や先輩、目上の人との人間関係です。特に、上司に対して「信頼できない」と感じてしまうと、精神衛生の点で問題を引き起こすことにもなりかねません。今回は、3本の映画で描かれている「上司との関係」をヒントに、「信頼できない上司」という悩みへの対処法を考えてみましょう。
信頼できない上司に、あなたならどう対処する?
さまざまなケースを検証する前に、「信頼できない上司」の例を考えてみましょう。
「信頼できない上司」とは?
2019年6月、人材派遣・紹介会社の大手マンパワーグループ株式会社が、入社2年目までの22~27歳の正社員男女400名を対象に「上司との信頼関係」についてアンケートを行いました。その結果、2割弱が上司を「どちらかというと信頼していない」あるいは「信頼していない」と回答しました。
「信頼できない上司」としては「高圧的な言動」「人によって対応が変わる」というケースが最も多く、どちらも30%を超える結果となっています。そのほかにも「仕事の指示が分かりにくい」「相談しても助言してくれない」という回答が30%弱の割合で続いています。
自分の仕事への向き合い方を見直そう
ほかのアンケートでもたびたび同様の内容があり、高圧的な言動などは「信頼できない上司」の典型的な例と言えます。確かに人間性やマネジメントスキルに問題がある上司もいるでしょう。
ただその前に、まずはあなた自身が今どのように仕事に向き合っているか、自分が「信頼できる部下であるかどうか」を見直すことも必要です。その上で上司との関係を考えてみてはいかがでしょうか。
これから紹介する3作品は、上司との向き合い方、仕事や自分との向き合い方を考えさせられる作品です。もしそうしたことに悩んでいたら、ぜひご覧ください。
『プラダを着た悪魔』自分が誠実に仕事と向き合えているかを問う
オシャレに無関心なジャーナリスト志望のアンドレア(アン・ハサウェイ)が、ニューヨークの一流ファッション誌編集部のカリスマ編集長であるミランダ(メリル・ストリープ)の理不尽な要求に振り回されながらも、力強く仕事に向き合う姿を描いた物語です。
ここで描かれる上司は「高圧的で部下に対し聞く耳を持たない」というタイプの人間です。そんな上司に対しヒロインは不満を訴えますが、あるとき自分がファッションの世界を軽視していたことを自覚します。そして仕事への向き合い方を反省し、欠点を克服してメキメキと頭角を現していきます。
仕事や社会生活に対する認識や目標をこの映画を見た上で改めて考えてみると、また違った向き合い方ができるかもしれません。
『人生の特等席』曲げてはいけないポイントを示す
大リーグの球団フロントと、彼らに反発する主人公の伝説のスカウトマン・ガスが対立する中で、ガスのひとり娘の手助けがきっかけとなって、彼の秘められた過去と真実が明らかになっていく物語です。
主演を務める名優クリント・イーストウッドは、2008年の『グラン・トリノ』以来、この映画で4年ぶりの映画出演を果たしました。
主人公のガスは、年齢による衰えにより視力が低下します。大リーグのスカウトマンにとって視力は命。上司(球団フロント陣)は、ガスの衰えに不安を覚え、データだけを信じ彼の意見に耳をかさず、現場など見ようともしません。
一方、物語では、ほかにも父と娘、異なる組織にいながら尊敬し合う先輩と後輩といったさまざまな人間関係から、孤立する頑固な主人公の動向や考えに影響を与えていく様子が描かれています。
これらのケースでは「曲げてはいけないもの」と「相手を尊重し折れるべきもの」の微妙な関係を描いており、上司との向き合い方に大きなヒントを与えてくれます。