◆子育ては「宇宙に放り出されたような感覚」

令和妊婦、孤高のさけび!
令和妊婦、孤高のさけび!頼りになるのはスマホだけ?! (はちみつコミックエッセイ) 真船佳奈(著)
――子育て中のママの本音が赤裸々に描かれているので、作品に共感する人が多いのではないでしょうか。

真船:育児書を読んでいると、「どこか他人事だな」「言いにくいことを隠しているな」と感じることが多かったんです。この本では本音を包み隠さず描いたので、子供がほしい方もほしくない方にも、「育児ってこんな感じなんだ」と楽しみながら知ってもらいたいです。大げさですけど、そういうことが社会を変えるきっかけになるのかもしれないと思います。

――子育て中のママ達にメッセージをお願いします。

真船:私は子育てを遠くから見ていた時はキラキラ輝いて見えていたし、自分も早くその世界に行きたい、唯一無二の我が子を育ててみたいとずっと思っていたんです。

でも、いざ子育ての世界に来てみると、「まるでこれまでの世界から切り離された宇宙にいるみたい」だと思いました。今まで生きていた世界から私が消えてしまって、私がいない時間が流れていて、今までいたところと育児の世界は私が考えていたよりずっと離れていたと感じてしまいました。

母乳かミルクか、そんな一見些細なことでなぜそんなに悩むのか、私自身も子供を産む前は全然理解できませんでした。出産後はスマホで育児について検索していると不安になる情報を見て苦しくなったり、情報を集め過ぎてがんじがらめになっていました。

でも思い切って外に出てみると意外に他のママも悩んでいたり、助けを求めることができたりします。だからスマホの中だけで完結するのではなく、勇気を出して外に出て、SOSを発して、周りの人に頼ったりしてほしい。この本が、そのきっかけになったらいいなと思います。妊娠、出産、育児に関して、私が知りたかった情報を命をかけて描いたので、出産祝いには定番のスタイよりもこの本を贈ってあげてほしいです(笑)。

<取材・文/都田ミツコ>

【真船佳奈】

酒を飲むと泣く31歳。テレビマン・漫画家。AD生活を綴った漫画「オンエアできない!Deep」を3月に上梓し、平成生まれなのに昭和のギャグ多めな作風が人気に。ブログ: テレビマン漫画家 真船佳奈のトラブルDAYS Twitter:@mafune_kana