現在は、ピースの綾部祐二もアメリカに拠点を移すなど、日本のテレビで活躍できる人材が海外で挑戦を続けている。その裏には、吉本興業のテレビにおける戦略の変化が関係しているという。
「吉本興業は、明石家さんま、ダウンタウンといった超大御所がいまだにテレビで大活躍。ナインティナインは共に50歳をこえ、ベテランが若手の活躍できる場をどんどん奪っています。次世代芸人として最近ブレイクしている千鳥やかまいたちですら、濱家隆一以外は40代ですし、次がつかえている状況が10年以上も続いている。若手で勢いのあった霜降り明星もすでに輝きを無くし、新しい仕事がダウンタウンや今田耕司、東野幸治ばかりに来る。このまま若手をテレビで大ブレイクさせるのは難しく、海外で稼げる芸人を開発していきたい考えがあるんです。ある意味、吉本がテレビに見切りをつけたと言われています」(同上)
実際、吉本興業では今年になって代表取締役会長を退任した大﨑洋氏を中心に、アジアやアメリカなどの海外戦略を密かに画策していた。そんな中、コロナ禍の2022年10月には、海外向けにパフォーマンスが得意な芸人を集めたYouTubeチャンネル『Yoshimoto Comedy Squad』を開設。しかし、これが成功しているとはいいがたい。
「海外で人気が高く、SNSのフォロワーが1400万人越えのウエスPをはじめ、若手の『いぬ』や『すゑひろがりず』、さらにFUJIWARA原西も参加する豪華なチャンネルだった。しかし、日本のテレビで受けるようなネタが多く、海外のお笑いファンには全く刺さっていない。そこで、吉本は海外展開は身軽に芸人が個人で挑戦し、ある程度の金銭的なバックアップはするという方針に変えたようだ。なので、多くの海外進出する芸人が籍を吉本に残している。綾部などは何も目立った仕事をしていないのに優雅な生活をしているのも、そういった事情があるようです」(週刊誌記者)
また、吉本はテレビで稼ぐ以外にも大きな収益源を確保したことが、海外進出を加速させる要因になっているという。それが、ネット配信ビジネスの成功だ。