『ザ・ノンフィクション』会社はいきなり辞めたほうがいい?
退職を選んだらいちは“青天の霹靂”的な辞め方だった。一方、ちはるは22年秋頃から明らかに元気がなくなっていき、大宮シェフとも辞めることを話していたようだが、説得もあってかそこで辞めきれず。結局翌年、職場で倒れ実家に帰ることになりと、退職の予兆から実際に辞めるまで期間があった。
どんな職場でも、いきなり辞める人もいれば、辞めそうな気配を見せつつも、退職までの期間が長い人もいる。しかし、らいちとちはるの対照的な退職の仕方を見ると、やはりらいちの「いきなり型」のほうがいいのだろう。これは周りのためというより、本人のためだ。明るかったちはるは、先延ばしにしているうちに、すっかり元気をなくしてしまっていた。
ちはるは仕事において、何がつらかったのだろう。厨房の仕事で着実に成果を上げ、周囲の信頼を得ていく同期のあかりを見つめるちはるの姿が印象的だったが、厨房の仕事への思いが本当はまだあったのか。それとも自分が認められない切なさや悔しさがあったのだろうか。だが、最後の頃のちはるは、疲れ切っていて、彼女自身も何がつらく、悲しいのかすらわからなかったようにも見えた。
一方、らいちは「休みが少ない」というレストラン大宮への不満が明確かつシンプルで、そこに焦点を絞り、休日の多い次の職場を見つけている。会社を辞めるなら、らいちのように、ゆとりと元気があるうちに実行したほうがいいと思った回だった。
次週も新人の成長を見つめる恒例シリーズ「ボクらの丁稚物語 2023 前編 ~泣き虫同期の6年~」。令和においても、男女問わず丸刈りの厳しい「丁稚奉公」制度を敷く秋山木工。5年の丁稚生活を終える内藤と加藤だが、職人昇格に思わぬ「待った」がかかり……。