◆自分とは違う価値観を悪だと決めつけることこそ、不毛だよ

バツイチで再婚する気はゼロの同僚・環田和哉(市原隼人)と関係を持っている洸稀。本人いわく、結婚するつもりはないし、ましてや付き合っているわけでもない。まさに、恋愛の“美味しいとこ取り”をしている状態だ。

4話では、そんな洸稀と向井くんが、ランチをしながら洸稀の恋愛事情に触れるシーンがある。向井くんとしては、、洸稀と環田のような“名前のない関係性”は、納得できない。「どこにも着地しない恋愛をする男は不誠実」と、めずらしく物申す(※この時点では、洸稀の相手が環田であることは、向井くんは知らない)。

そんな物申しモードの向井くんに、洸稀はいつものように淡々と返すのだ。「自分とは違う価値観を悪だと決めつけることこそ、不毛だよ」と。その通りである。恋愛事情に限らず、人には人の価値観がある。それはすなわち、生まれ育った家庭や教育など、さまざまなものに裏打ちされた哲学に似ている。

自分とは違う価値観は、悪ではない。そしてそれを、無理やり善だと受け入れる必要もない。違いはただ、違いとしてそこに置いておくだけでいい。わざわざ対立を生もうとすること自体が「不毛だ」と、シンプルで的確な言葉で示してくれる洸稀は、どこまでも清々しい。