◆「自分がしたいことをやっているだけ」な父親への拒否反応

 発売中の雑誌『SWITCH Vol.41 No.9 特集 ジブリをめぐる冒険』では木村拓哉へのインタビューが掲載されており、父・勝一という役に向かうまでの試行錯誤や、作品のメッセージの読み解きがとても興味深いものになっている。木村拓哉は自身が演じるキャラクターをこう分析する。

「結局、勝一は眞人(息子)の気持ちを考えていないんです。息子を気にかけているように見えるけど、こうしたら息子が喜ぶだろうなという視点がない。あくまで自分がしたいことをやっているだけなんです」

 まさにその通りで、勝一は「学校なんて行かなくていい。どうせろくに授業もしていないんだから」と言うなど、一方的な“善意”を息子に押し付けてくる父親だ。

 何しろ木村拓哉の声そのものがヒロイックに聴こえるため、今回のように「相手の気持ちを聞こうともしない」「自分に酔っている」ようなナルシスティックな言動と組み合わさると、良い意味で強烈な拒否反応を起こさせるというのは意外でもあり、同時に納得できたのだ。