ピンチの理由3. 独立したはずの子どもが戻ってきた

さらに生活を圧迫してしまったのが、長女の帰省です。帰省といっても、長期休暇の間だけといったものではありません。数年前に結婚して家を出ていた長女ですが、離婚をきっかけに実家に戻ってくることになったのです。

長年パートとして働いてきた長女が、新しい仕事を見つけて再び自立できるようになるまで、親子3人で暮らしていくことになりました。そのあいだ、どうしても家族が増えるぶん、生活費の出費も増えてしまうでしょう。

Wさんに限らず「社会人になった=子どもが独立」とはいかないこともあります。今は社会人になってからもずっと実家で暮らし続ける方も多いですし、失業してしまったり仕事上のストレスで精神的につらくなって働けなくなったりして引きこもるケースなどもあります。

将来設計を考えるときは「この子は自分たちが老後を迎える頃には家を離れるだろうから、お金に余裕が生まれるに違いない」と思いがちですが、そうならないこともあるのです。

老後破産を防ぐためにできること

体調や家族の状況など自分の努力とは関係のないことでピンチに陥ってしまうこともあります。それはある程度しかたのないことでしょう。すべてのリスクに完璧に備えておくのは困難です。

強いて言うなら、Wさんの場合はもっと早くから自分の年金額の予測ができていれば、もう少し貯金に回す金額を増やしたり、年金を増やすための制度を活用したり、長期的な視点でいろいろな方法を考えられたかもしれません。

多少の不測の事態にも揺らがないよう、早めに情報を集めましょう。そして、老後を迎える準備を始め、環境を整えておきましょう。

もし老後破産の危機に陥ったとしても、あきらめずに切り抜ける方法を探しましょう。生活費の節約を図ったり、家計全体で収入を上げる方法を考えたり、生活が苦しくてもどうしようもないなら、市区町村役場などで医療や福祉の分野で利用できる社会保障制度について教えてもらうこともできますよ。
 
文・馬場愛梨
肩書・ばばえりFP事務所代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
ばばえりFP事務所

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