──“ゼロ”の声とは?

純子:たとえば♭(フラット)気味な声の子の場合、当然その声も魅力的やけど、少し持ち上げた声の状態でようやく“ゼロ”になるわけです。そういう違いをレッスンに初めてくるような子はわからないし、クラシックや声楽から学ぼうとするとかなりの時間がかかってしまう。そこでいかに早く上手くなれるか、というのを私の歌唱指導ではかなり大切にしています。取り組むのが早ければ早いほど、変化が出るのもファンからフィードバックを得るのも早くなりますから。

──自分の声の持ち味やウィークポイントって指導を受けないとわかりにくいものですよね。それに早く気付けるかどうかというのは、結果的にチャンスの数にも直結するような気がします。

純子:そうですね。私自身が人の良いところを見つけるのが好きで、なおかつ得意でもあるので、速さには自信があります。その子の歌を聴けば「この子がこの部分を上手に歌えないのはこういう技術が足りないからで、どう指導すれば改善できる」というのが2秒でわかるので。あと教え子一人ひとりのことがほんまに好きやから、貶すよりもその子の好きなところを伝えるようにしてます。

 それに歌唱ではウィークポイントもプラスにできる自信しかないです。その子がコンプレックスに感じているものも歌い方ひとつで化けるし、その違いはライブを通してファンの人らにもしっかり伝わります。ライブは「THE FIRST TAKE」よりも“ファーストテイク”なんで(笑)。