歌だけがすべてではない、しかし歌の力が人を惹きつける

──アイドル戦国時代という言葉が生まれて10年が過ぎ、アイドルの活動や存在もより多様になりました。純子さんから見て、アイドルには歌唱力の高さも求められる時代となったと感じていますか?

純子:うーん、運営さんの方針次第やと思いますね。ダンスさえ揃っていればいい、被せでもいいという方針の運営もいるやろうし、そういう人はボイトレの依頼はしませんしね。

 どんなに良いグループで曲も良くても人に見つからなければ意味がないので、歌だけがすべてではないと思います。ただ、今の時代のアイドルに求められているものは、何よりアイドル側とお客さん側の熱量を一致させることであり、そのためには歌の力は必要なものやと思います。

──お客さんを高められる歌やパフォーマンスがあってこそ、双方が盛り上がるということですね。では、純子さんがアイドルたちに歌唱指導するうえで大切にしていることは何ですか?

純子:基本的にアイドル運営さんの方針や音楽の方向性に合わせて指導は変えてます。たとえばKolokolさんの様な曲の個性、音楽性が高くファンタジーで牧歌的なアイドルの場合、静かに見てても歌とパフォーマンスで魅せることができるので魅せるための指導を。また、Quubiさんなどバンドセットのアイドルの場合は、お客さんを沸かせるために熱量のある発声に重きを置いた歌唱やパフォーマンスを指導しますね。

 レッスン中に最近の集客や新規のファンの獲得から最近どういうものにハマってるかとか世間話を交えながら本人の体調やメンタルもしっかり見るようにし、且つ今後の活動へのミーティングも織り交ぜた内容になってます。

 技術的なものでいうと、その子の声の個性を生かしたいので、まずマイナスやプラスに偏った声から“ゼロ”に近づける声の出し方を指導しています。