妙子は事務所に頼まれるがまま、ズルズルと替え玉を続けるのだが、しかし「家では夫と冷め切った関係を送っている主婦・浜岡妙子が、ある日を境に大女優・絹代としてなりすまし生活を送る姿をコミカルに描く“なりすましコメディー”」という謳い文句とは違い、妙子が大女優になりすます展開は前半で概ね終了。ストーリーは、夫・陽一の職場のパラハラ問題や、息子のあきら(中川大輔)と学生起業家・蛍(永瀬莉子)の関係、プロダクション曼珠沙華の二代目社長・莉湖(木村佳乃)と娘の関係、曼珠沙華の社員・櫻井(葉月ひとみ)の自殺未遂騒動などなど、さまざまなエピソードがオムニバス的に同時並行で描かれつつ、後半からは曼珠沙華をめぐる“芸能界の闇”が本筋に。

 櫻井は帝都テレビのディレクター・沖野島(吉田宗洋)からセクハラを受けており、仕事をもらうために我慢してきたが、ある日自殺未遂を起こし、事務所に責任があるとプロダクション曼珠沙華を訴えるべく弁護士を雇う。だが実は櫻井が本当に悩んでいたのは、別のことだった。沖野島は薬物を使ってスタッフなどの女性を襲う常習犯であり、6年前にある女性タレントがドラッグパーティで亡くなった事件も、表向きは所属事務所の不祥事として片付けられたが、実は沖野島が無理やり薬物を飲ませたことが原因で急死しており、沖野島の父親・晃三が帝都テレビに強い影響力を持つ有力者だったことで、沖野島の関与についてはもみ消されたのだった。そしてそのもみ消しに加担したのが、莉湖の実父であり、プロダクション曼珠沙華の先代社長かつ創業者である故・比嘉義太夫(藤波辰爾)。義太夫は、沖野島の父親の親友だったことから、“芸能界のドン”國東(堺正章)にもみ消しを依頼した……というストーリーが展開された。

 「二代目女社長が過去のセクハラ問題に悩む」「被害者は仕事をもらう側の立場のため、告発しづらい構造」「すでに故人だが、先代社長の関与を認めると、事務所そのものが危うい」「業界の有力者による事件のもみ消し」などの要素から、ジャニーズ性加害問題と妙に符合しているとの指摘が上がっている。

「しかも二代目女社長を演じるのが木村佳乃ですから、なんとも皮肉です。第8話の放送があった9月7日は奇しくもジャニーズ事務所の記者会見が合った日で、藤島ジュリー景子氏が退任し、木村の夫である東山紀之が新社長に就任しましたからね」(芸能記者)