◆トーナメント方式の予選が招いたこととは?

――なるほど!「THE SECOND」は、予選も同じ形式で行われ、ファイナリストは、すでにテレビで活躍中の三四郎、スピードワゴンや、それぞれ東西の劇場番長といわれる囲碁将棋、テンダラーといった多様なメンバーでしたが、どのようにご覧になりましたでしょうか?

<まさに多様でしたね。それぞれの芸能界での立ち位置も多様ですが、それ以上に、漫才のスタイルが多様なことに感動すら覚えました。テンダラーの関西正統派漫才や、金属バットのやさぐれたような漫才、超新塾の団体芸などなど、「漫才の形はこれほどまでに種類があるのか」と思わされました。極論を言えば「コンビの数だけ漫才の形がある」とは思いますが、やはり今回のメンバーは、そのスタイルで何年も貫(つらぬ)いているコンビばかりなので、それぞれの個性がしっかりと立っていました。

ファイナリストの選出方法が他の賞レースと違い、予選もトーナメント方式になっています。総出場組133組を選考会で32組に絞り、そこからトーナメントという方式です。言い方を変えると、「トーナメントのベスト8から地上波放送が入る」ということです。

この方式が用いられたときに、他の賞レースでは起きない「あること」が起こります。それは、「運営がファイナリスト全体のバランスを調整することができない」ということです。

他の賞レースでは、決勝進出者を10組程度、準決勝から1発の選考で選出します。もちろん、「面白かった10組」を選考しますが、やはり選ぶ側も人間ですから、「このコンビとこのコンビは芸風が似ているから二者択一かな」とか、「こういう変わったコンビが1組くらいいてもいいかな」という心理は働くはずです。結果として反映されているかはわかりませんが、無意識のうちにバランス調整をしていてもおかしくはありません。

ところが、トーナメントでベスト8を選ぶとなるとそうはいきません。まったくバランス調整されていないのに、ここまで多様な芸風が揃うのが「THE SECOND」の特徴のひとつなのかもしれません。

トーナメントで予選をすると、上から数えたらベスト8に入っているコンビが負けてしまっている可能性がある、というデメリットもあります。しかし、逆に考えたら、来年以降もまだまだ面白いコンビが出てくるかもしれない、という考え方もありますね。>