そんな量産型女子を見る度に、アイドルグループ・乃木坂46の女の子みたいだと思っていたため、「量産型」と呼ばれるリコを乃木坂46の与田祐希に演じさせたのは、実に批評的なキャスティングだと思った。
本作もまた、リコの姿を通して、量産型という言葉をポジティブな意味として捉え直している。前作の『量産型リコ』は、一見やる気がないように見えるリコたち若手社員が抱える、静かに燃えている情熱が繊細な映像を通して描かれていたが、その流れは今回の『量産型リコ』でも踏襲されている。
第9話。ライバル会社の社長・中野京子(藤井夏恋)にプラモ対決を挑まれたリコは、シャア専用ザクを作ることになるのだが、メインカラーの赤ではなく、あえて量産型ザクのメインカラーである緑で全体を塗装し、左肩だけを赤く塗る。
ズルいかもしれないが、目立たず逃げ切りたい。狙われやすい赤では自分は生き抜けない。だから「私は量産型がいいんです」とリコは言う。ネガティブな発言に聞こえるが、リコの言葉に迷いはない。
プラモ作りを通して静かに成長していくリコの姿を通して、量産型という言葉をポジティブな意味に読み換えた本作は、極めて現代的な成長物語だったと言えるだろう。