【旅行スポット】万葉集ゆかりの温泉
旅に出るなら観光スポットと一緒にチェックしておきたいのが温泉。
万葉ゆかりの地にもおすすめの温泉があるので、万葉ゆかりの地は歩いてまわる箇所が多いので温泉に泊まって疲れた足を休ませましょう。
湯河原温泉【神奈川】
足柄の 土肥の河内に 出づる湯の 世にもたよらに 子ろが言わなくに ―作者不詳―
温泉が湧き出る様子と温泉の湯気が揺れるように思いを寄せる女性の心が他の男に揺れてしまわないかと不安を詠んだ歌です。
この「河内出づる湯」というのが湯河原温泉のことだと言われています。
道後温泉【愛媛】
熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな ―額田王―
唐と新羅に攻め入られた百済救済に向かう救済軍が道後温泉(当時の呼び名は熱田津の温泉)に立ち寄ったときの歌。今から遠征に向かうという時に軍を鼓舞する歌だと言われています。
道後温泉は国内最古の温泉とも言われ、3000年の歴史を持ち多くの皇族行幸した土地、聖徳太子が療養したことでも有名です。
白浜温泉【和歌山】
岩代の 浜松が枝を 引き結び ま幸くあらば またかへり見む ―有間皇子―
白浜温泉(当時牟婁の温湯と呼ばれていた)に療養で訪れていた有間皇子が謀反の嫌疑をかけられた時に有間皇子自らが「またここでこの松を見ることができるだろうか」と詠んだ歌です。
白浜温泉は万葉集だけでなく日本書紀にも登場する昔からある温泉で、天皇が行幸に訪れた温泉としても有名です。
有馬温泉【兵庫】
摂津にして作る しなが鳥 猪名野を来れば 有間山 夕霧立ちぬ 宿りはなくて ―作者不詳―
有馬温泉は蘇我馬子が活躍した時代に発見された歴史の古い温泉です。
大阪の摂津から兵庫県の六甲山までの長い旅路を嘆いた歌で、夕霧が立ち込めて日が暮れかかっているのにまだ道のりは遠いという気持ちを詠んでいます。
伊香保温泉【群馬】
伊香保風 吹く日吹かぬ日 ありといへど 吾が恋のみし 時なかりけり ―作者不詳―
伊香保から吹く風は強い日や吹かない日があるけれど私があなたを想う気持ちはずっと変わらないという恋心を詠んだ歌です。
伊香保温泉は万葉時代にはもう発見されていた歴史の古い温泉です。
二日市温泉【福岡】
湯の原に 鳴く芦田鶴は わがごとく 妹に恋ふれや 時わかず鳴く ―大伴旅人―
大伴旅人が詠んだこの句ではじめて二日市温泉(当時は吹田温泉と呼ばれた)の記録が登場します。湯ノ原に鳴く鶴は私のように妻を恋い慕っているからだろうかという亡くなった妻への気持ちを詠んだ歌です。