【旅行スポット】万葉集ゆかりの地
新元号「令和」が万葉集が元になっていると発表されてから、万葉集に注目が集まり書店には万葉集関連の本が並び万葉集ゆかりの地には訪れる人が増えているそうです。
令和という新しい年を迎えるにあたって万葉集ゆかりの地へ足を運び、万葉集に想いを馳せるのも素敵な休日の過ごし方ですね。
万葉集にゆかりのある地は全国にたくさんありますが、まず、万葉集ができた当時に都であった奈良県から紹介していきます。奈良市内はもちろん、奈良県には郊外に行くといまでも万葉の香りがするような味わい深い場所が点在しています。
山辺の道【奈良】
JR桜井駅から2駅先の巻野内駅まで続く山道の古道が「山辺の道」と呼ばれます。駅前を少しすぎるとたちまち辺りは静かになり、「山辺の道」という小さな印を目印に進んでいくと山の方へと続く小道が顔を出します。
喧騒のない静かな山道は古代にトリップしたような不思議な感覚を抱きます。山辺の道ではたくさんの歌が残され、現代にあって神話を肌で感じられる特別な場所です。
藤原宮跡【奈良】
わずか16年という短さで奈良の平城京へ遷都となった藤原京は持統天皇によって中国の都城をモデルに建造された日本初の本格的な都城です。
畝傍山・耳成山・香久山の大和三山に囲まれたこの地では数々の歌が読まれ、万葉集には持統天皇が藤原京から見た風景を詠んだ歌も納められています。
かぎろひの丘【奈良】
かぎろひの丘は万葉公園とも呼ばれ、奈良県宇陀市にある小高い丘です。その昔この地域では宮中行事の一つである狩りや薬草摘みが行われており、柿本人麻呂もここで歌を残しています。
かぎろひの丘から見下ろす景色は都会のように高い建物がなく、悠久の時を感じられます。
吉野町【奈良】
吉野千本桜でも有名な吉野町は春になると花見客で溢れる観光地です。その折り重なる桜の風景は吉野全体をピンクに染め、美しく幻想的。
しかし奈良の昔にはここは人里離れた険しい山。険しく荘厳な山や木々の中を流れる美しい清流に古人はたくさんの歌を残しています。
明日香村【奈良】
明日香村は古墳があり、かつての都跡も残る日本の原風景。持統天皇が藤原京に都を移すまではここ飛鳥に都がありました。
都が藤原京に移ったあと人がいなくなった飛鳥のことを詠んだ歌がたくさん残り、静かな田園風景が広がるこの地にかつて都があったのかと感慨深く感じられます。
玉津島神社【和歌山】
玉津島神社は「和歌の神様」である衣通姫尊(そとおりひめのみこと)を祀る歌人の聖地。衣通姫尊は和歌に優れた絶世の美女だったそうです。
山部赤人が詠んだ歌「神代より然ぞ尊き玉津島山」が有名です。
万葉館【和歌山】
万葉館は万葉集にも登場する和歌浦にある万葉集の資料館です。近くには玉津島神社や万葉の小路という遊歩道があり、万葉集に想いを馳せながらゆっくりと海を眺めつつ散歩することができます。
万葉館にはパノラマのガラス窓が設置された展示室があり、そこからは当時の歌人が詠んだ風景を眺めることができます。
藤白坂【和歌山】
風光明媚な日本の原風景が広がる藤白坂は有間皇子が処刑された悲劇の地。亡き有間皇子のことを詠んだ悲しい歌に当時の政権争いに巻き込まれた皇子のことが偲ばれます。
JR海南駅周辺には有間皇子を祀った藤白神社などゆかりの地が点在していますが、藤白坂は山のほうへ入った熊野古道と重なる場所にあります。
いなみ野万葉の森【兵庫】
兵庫県加古郡稲美町にある「いなみ野万葉の森」は新元号「令和」に湧く場所。
無料で入園できる園内の庭園には万葉集に編まれた歌碑が数十本あり、その中には「令和」の元になった歌の碑もあります。庭園には万葉集で詠まれた植物もたくさん植えられており植物園と歌碑の庭園として親しまれています。
住吉神社【兵庫】
明石市魚住町には明石の海岸から遠くに見える淡路島や浜からみる美しい景観を詠んだ歌が残っています。
住吉神社には海につながる山道があり、鳥居の奥から朝日が昇ってくる様子は素晴らしいの一言。聖武天皇が山部赤人を連れて行幸に訪れた地です。
綱敷天満宮【兵庫】
学問の神様「菅原道真公」を祀る綱敷天満宮は神戸市の須磨にあります。菅原道真公が太宰府へ左遷される折、船の難破で立ち寄ったとされる場所です。
神社自体は万葉集と直接関係ありませんが、令和という元号が梅にまつわるものであり梅を愛した菅原道真公にちなんで梅園が広がっていることから万葉集ゆかりの地として人気となっています。
雨晴海岸【富山】
富山県は万葉集の代表歌人である大伴家持が5年間赴任していた場所です。
JR氷見線「雨晴駅」から徒歩5分の場所にある風光明媚な海岸は荒々しい日本海と奥に聳える立山連峰を拝める国内有数の景勝地です。
海岸から3000メートル級の山々を見られるのは世界でも雨晴海岸のみというのですから驚きです。
この神々しい風景は万葉集の歌にも詠まれており、大伴家持も「一年中見ても飽きることはない」と感嘆させたほどなのです。
藤波神社【富山】
大伴家持が藤を歌って以来、藤波神社は藤の名所として有名になりました。
毎年鳥居の上にかぶさるように花咲く藤の花の姿を大伴家持が数多く歌に詠んでいます。大伴家持が愛した藤の花の季節にぜひ訪れて見たいですね。
高岡古城公園【富山】
高岡古城公園は江戸時代の城跡なのですが、二上山などを有する高岡市が万葉ゆかりの地ということで毎年秋にはこの公園では万葉の昔の衣装を身にまとい歌を詠んで競い合う「高岡万葉まつり」が開催されます。
池に舞台を浮かべ万葉の時代の着衣で歌を詠む様はまるでタイムスリップしたように感じられるでしょう。
万葉公園【神奈川】
神奈川県湯河原温泉にある万葉公園は多くの万葉植物が植えられている美しい場所。公園内には温泉の神様「湯権現熊野神社」があります。
4,500首以上の句が集められた万葉集で唯一温泉について詠んだ句があることでも有名です。
坂本八幡宮【福岡】
朝鮮との交易・軍事拠点として重要な位置にあった福岡県には太宰府が置かれ調停の重要拠点として政治的に大きな役割を果たしていました。太宰府の長官を務めていた大伴旅人は歌の才能に長け、万葉集にも多くの歌を残しています。
そして新元号「令和」の出典となった歌の序文はこの大伴旅人の館で開かれた梅花宴で詠まれたもの。万葉ゆかりの地であり、新元号「令和」ゆかりの地でもあります。
境内には梅園も広がり、その当時が偲ばれます。
太宰府天満宮【福岡】
坂本八幡宮近くの太宰府天満宮は菅原道真公を祀り国内で最も有名な受験の神様として全国から多くの参拝者が訪れます。
その太宰府天満宮のシンボルといえば菅原道真公が愛した梅の木です。その梅の木にちなんで境内には広大な梅林が広がっているのですが、ここ太宰府天満宮境内の梅の花を詠んだ歌も万葉集に納められています。
周辺には大伴旅人が赴任していた太宰府政庁跡もあるので一緒に足を運んでみましょう。
宗像大社【福岡】
大伴旅人が任期を終えて帰京する一足先に異母妹の大伴坂上郎女が帰京の途につき、途中で参拝に立ち寄った宗像大社に抜ける道で詠まれた歌が残っています。
宗像大社へ抜ける峠道は万葉の時代そのものの風景を残していてなんとものどか。そして峠道を下って行くと霊験あらたかな宗像大社が鎮座しています。