基本的に「幽霊など得体の知れない相手に物理的な手段で対応できる」「毒は毒をもって制す」と考える工藤は調査の過程で様々な呪術道具を手に入れる。「呪いの髪の毛飾り」「狐の尻尾」といった道具は持っているものに呪いをもたらしたり、扱いが難しいが、工藤は「なんかあった時に使えるだろ」ぐらいの感覚で持ち歩き、それを使って憑き物の憑いた人間を殴って覚醒させたり、トイレの花子さんや蛇女を相手に拳、バットを振り上げる!

 やはり暴力……暴力はすべてを解決する……!

 この「怪異に対して物理的な手段で立ち向かう」というのは白石晃士監督のテーマのひとつで、『コワすぎ!』シリーズとは無関係な他作品にも高名な霊能力者や陰陽師でも立ち向かえないような異界の化け物相手に力づくで挑んで撃退しようとする場面が多々ある。

 およそ、普通の作品ではチンケな脇役か、メインの悪役にすらならないような工藤を主人公としてアンチ・ヒーローですらない「タダの嫌なやつ」として描いているところが『コワすぎ!』シリーズの見どころだ。

 そしてシリーズを追うごとに工藤の隠された出生の秘密が明らかになっていくという、壮大な世界観をもっているのもシリーズの魅力だ。