そしてここに新しく加わったのが、「応援の仕方」をファンダムに向けて事前に説明するという戦略だ。『iCON Z』や3組それぞれの公式SNSアカウントにて、「ビルボードジャパンのHOT100でトップ10入り」という具体的な目標を掲げ、ビルボードの集計対象期間などを説明し、ダウンロードやストリーミング、ラジオ、YouTubeなどそれぞれにおいてどういう行動をすればよいのかを指南している。一方で「一番大切なのは自分のペースで楽しむこと」と、過剰な“推し活煽り”とならないような配慮を見せてもおり、特にアイドル方面においてCD文化が根強い日本においては、ストリーミングなどに関する具体的な案内や、こうした“推し活”に不慣れなファンの心理的ハードルを下げる試みは、注目すべきところ。LDHのオリジナル番組などを配信する「CL」では、KID PHENOMENONの番組『キドフェノ学園』が始まったが、第一弾企画が「サブスクを学ぼう」なのも象徴的だ。

 3組はCDも発売し、LDH伝統のプロモーションツアー「夢者修行」で売り出していく。21日深夜放送の『プレミアMelodiX!』(テレビ東京系)は3組をフィーチャーした回となり、また美容メディア「VOCE」(講談社)とのコラボレーションで「次世代スター発掘人気投票」という企画を行い、3組21人の中からトップ3の得票者がデビュー前に表紙を飾るという仕掛けも行われている。こうした旧来型のプロモーションと並走して、上記のようにデジタル分野にも注力しているのだ。3組のプレデビュー曲では、WOLF HOWL HARMONYの「LOVE RED」が今年2月、Spotifyの国内週間バイラルチャートで3週連続1位を達成している。CDセールス頼みではない国内ボーイズグループというのは残念ながらまだまだ少なく、このLDH新世代の活躍は新たな潮流を起こすか。

 ビルボードジャパンのHOT100でトップ10入りを果たしたグループは、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌にてメンバーのビジュアルを使用した広告枠が展開されるほか、全国紙の新聞一面広告も掲出されるという。この「3組同時デビュー」がどれほど盛り上がるのか、注目したい。