20代のビジネスパーソンは、仕事において具体的なアイデアを持って勝負したいところです。すでに多くの人が実践し、手法として確立されている「思考法」を身に付け、それをスムーズに自分の仕事へ活用できることがベストです。ここでは、20代が武器にしたい思考法を4つ紹介します。

1. ロジカルシンキング(論理的思考)

ロジカルシンキング(論理的思考)とは、物事を客観的な視点で分析・整理し、矛盾がなく筋が通るように答えを導き出す思考法です。“ある現象”が生じる理由を考えるとき、矛盾や飛躍のない説明ができるようになる――思考法の中でもベースになるのがロジカルシンキングと言えるでしょう。

ロジカルシンキングの具体的な方法はさまざまです。まずは数ある方法の中のひとつ「MECE(ミーシー)」を紹介します。

MECEとは“Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive”の頭文字をとったもので、「相互に独立だが、全体としては漏れがない」、つまり問題の解決策を考える際に、漏れやダブリが出ないように考える思考法です。

例えば、10~20代の若者を対象としたイベントにおける入場料金を「学生」「20代女性」「20代男性」などと区分けした場合、「学生」と「20代女性(男性)」にダブりが発生していること、「学生でない10代」が漏れていることがわかり、MECEと言えません。

対して、とあるテーマパークのチケット代金は、小人以下を無料としており、「小人(4~11歳)」、「中人(12歳~17歳)」、「大人(18歳~64歳)」、「シニア(65歳以上)」で区分けされています。これは漏れなし、ダブりなしのMECEの状態です。

ロジカルシンキングを身に付けることができれば、新規プロジェクトのような答えのない課題も解決しやすくなります。また上司や顧客などに対しても、自身の意見を分かりやすく伝えられるようになります。

2. クリティカルシンキング(批判的思考)

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、主観や感情に流されることなく、物事の正誤を見極めた上で判断を下す思考法です。簡単に言うと、まずは疑いの目を持って物事を見る思考法です。

例えば、新しい販売施策を行った結果、10万円の予算で100万円の利益を得られたとしましょう。この結果をどのように評価するか、こんな時にクリティカルシンキングの出番となります。

クリティカルシンキングでは、ただ結果のみを見て施策が成功しているとは判断しません。「販売施策の効果のみで利益を得られたのか?」「さらに良い施策はないか?」「長期的に通用する施策なのか?」などと批判的に問うことで、販売施策が成功しているのかを多角的な視野で分析します。

クリティカルシンキングを身に付ければ、見落としがちな問題にも対処できるようになります。例えば前述の具体例から「短期的には利益につながるものの、長期的には利益が少ない」という問題点を事前に洗い出すことができます。

また、より優れたアイデアや施策を生み出せる点も大きなメリットなので、「より少ない予算で大きな利益を得られる施策」を見つけ出せる可能性もあります。

3. 演繹(えんえき)的思考

演繹的思考とは、一般的に正しいと周知されている事柄に、客観的な事実を当てはめることで結論を導き出す思考法です。「A=BかつB=Cならば、A=Cである」という風に考えるのが、演繹的思考のポイントです。

演繹的思考への理解を深めるために、身近な例を使って考えてみましょう。

例えば「お金を持っていないと買い物はできない」という正しい事柄と、「佐藤さんはお金を持っていない」という客観的な事実があるとしましょう。この場合、佐藤さんはお金を持っていないので、買い物をできないという結論を下せます。

前提となる「一般的に正しいと周知される事柄」に間違いがない限り、演繹的思考によって導き出される結論(A=C)は必ず正しいものとなります。従って、この思考法をうまく活用できれば、説得力のあるプレゼンを実施したり、理にかなった解決策を打ち出したりすることが可能になるのです。