◆女性スタッフの温かい言葉にほろり

窓辺の女性
「着物の血が取れた時は本当に安堵しましたね。あの時、ほっとしたのと恥ずかしいのとで泣きそうになっていた私に、女性スタッフが『成人式は笑顔で参加してくださいね』と優しく声を掛けてくれました。そして、『綺麗な色の着物を選ばれましたね』と言いながら、手際よく丁寧に着付けを仕直してくれたんです」

 女性スタッフの神対応で、真理子さんは無事に成人式に出席。着付け代金などの後日請求もなかったそうです。

「あの日、成人を迎えた私は『自分もこの人のような大人になりたい!』と強く思いました。相手がして欲しいことを汲んで寄り添いながら、手際よく対応する女性スタッフの姿に、自分はなんて未熟な子どもなのだろうと感じた成人の日でした」

 12年経った今も、真理子さんの住まいから歩いて20分の場所にある、老舗写真館。今でも、その老舗写真館の前を通る度に、真理子さんの頭の中にはあの時の苦い記憶と温かな記憶が蘇ってくるそうです。

 人とのつながりを大切にし、お客さんを大切にするスタッフがいるからこそ、“老舗”の写真館として地域に認められているのでしょうね。 温かなエピソードでした。

<取材・文/maki イラスト/ズズズ@zzz_illust>