マーケティング・フレームワークの基礎である“SWOT(スウォット)分析”ですが、「ただの現状把握しかできない」という批判もあります。そこで、具体的な戦略を立てるときに役立つのが、SWOT分析を一歩進めた「TOWS(トゥーズ)分析」です。ある意味、ピンチをチャンスに変えるためのフレームワークと呼べるかもしれません。
内部要因と外部要因のプラス面/マイナス面を明らかにするSWOT分析
まずはSWOT分析について説明しましょう。こちらはアメリカの経営コンサルタントであったアルバート・ハンフリーが提唱したとされるフレームワークです。SWOTとは、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)という4要素の頭文字です。
SWOT分析では、企業やサービスの内部要因(組織や価格など自分たちである程度統制できること)と外部要因(市場トレンドや社会情勢など自分たちで統制不可能なこと)、それぞれのプラス面とマイナス面を羅列していきます。
たとえば、お手頃価格で大盛りメニューを提供することを売りにした飲食店があったとします。学生に人気を集める古き良き「安い!大盛り!」の定食屋を想像してみてください。これにSWOT分析をかけてみましょう。
【内部要因】
強み(S):「安くて量が多い」が挙げられます。
弱み(W):「店構えが古びている」「スタッフの高齢化」が挙げられます。
【外部要因】
機会(O):「近隣に大学のキャンパスが移転してくる予定」が挙げられます。
脅威(T):「メニュー豊富な大手定食チェーンの存在」が挙げられます。
ざっくりとした説明ではありますが、なんとなくSWOT分析というものがイメージできたのではないでしょうか?このように“SWOT”の4要素を手掛かりに、ビジネスを取り巻く現状を把握しようとするのがSWOT分析です。
しかし、SWOT分析には、「ただの現状把握でしかない」という批判もあります。たしかに現状把握とは、未来に向けて行うもの。“SWOT”の4要素を並べた後に「……それで、どうしよう?」とフリーズした経験がある人もいるかもしれません。そこで、より実践的に活用できるのが“TOWS分析”なのです。
4つの要素をクロスさせるのがTOWS分析
TOWS分析は、SWOT分析を踏まえて、アメリカの経営学者ハインツ・ワイリックが提唱したもの。“クロスSWOT分析”とも呼ばれている通り、SWOTの4つの要素をS(強み)×O(機会)、S(強み)×T(脅威)、W(弱み)×O(機会)、W(弱み)×T(脅威)の4パターンで掛け合わせることで、思考を深めていくフレームワークです。
S(強み)×O(機会):自社の強みを最大限に活用して攻勢に出る“SO戦略”が立てられます。
S(強み)×T(脅威):自社の強みを生かして脅威に備える“ST戦略”が立てられます。
W(弱み)×O(機会):弱点を埋め合わせて機会をつかむ“WO戦略”が立てられます。
W(弱み)×T(脅威):弱みを最小化して脅威に備える“WT戦略”が立てられます。
ちなみに、SO戦略をmaxi-maxi、ST戦略をmaxi-mini、WO戦略をmini-maxi、WT戦略をmini-miniと表現する場合もあるので、余力があれば覚えておいたほうが良さそうです。