今回、マウスモデルにおいてノンアルコールビールやアルコールを除いたビールを摂取させることで肺ガンの生成を抑制し、その仕組みがDNA傷害に対する修復促進によるガン発症予防や、ガン細胞の増殖シグナル伝達阻害により癌細胞の増殖を抑制することが明らかになったことで、研究チームでは「マウスモデルではあるが、肺ガンという死亡数・罹患数ともに多く、相対生存率の低いガンに対し予防効果のある可能性のある食品を明らかにできたことは、今後の癌予防への貢献が期待される」とコメントしている。

 厚生労働省の調査では、19年の成人の喫煙率は16.7%で、男性が27.1%、女性が7.6%まで減少しているが、98年には男性の2人に1人(50.8%)、女性の10人に1人(10.9%)が喫煙者だった。

 ただ、喫煙者数は減少しているが、19年の調査では喫煙者のうち、1日21本以上の喫煙を行っている重度喫煙者の割合は男性で11.2%、女性は2.8%だが、半面、1日に1~10本の喫煙を行う軽度喫煙者の割合は年々増加し、男性は32.5%、女性は52.0%と、実は女性の喫煙率はこの20年間で、わずかにしか低下しておらず、軽度喫煙者は増加している。

 喫煙による肺ガンの予防に、ビールが発ガン抑制効果があり、予防に役立つ食品等が開発されることに対する期待は大きい。

 論文はGenes and Environmentに掲載された。