◆パリで活躍する日本人のシェフやパティシエ

──日本人はもちろん、パリの人々にも大人気のお店だとか?

「ええ。つねに長い行列ができていたり、開店何時間かで売り切れてしまったり。店内に日仏英……いろいろな言葉が飛び交い、グローバルな熱気にあふれているところもあります。どのお店も“食”にはうるさいフランス人に人気で、ちょっと鼻が高い(笑)。

商品そのもののたたずまいやお料理の盛り付けは美しいですし、接客はホスピタリティにあふれていて、日本人らしさを感じます。でも、お店の内装や雰囲気からはパリのセンスも感じられて……」

──それは足を運んで、自分の目で確かめてみたくなりますね。

「はい。ご存じの方も多いと思いますが、パリでは和食や日本の調味料、お菓子などが人気ですし、武道などの文化、伝統工芸品や台所用品、そして、“日本語”そのものも注目されています。

日本人のシェフやパティシエの方もたくさん活躍されていて、コンクールで賞をとっている方も多いです。ちょっと大げさかもしれませんが、いずれのお店も、パリの中で息吹く日本や日本人のエネルギーを感じていただけるお店かなと思います」

パージュ
日本人シェフ手嶋竜司さんが彼の一つ星レストラン「パージュ」の隣に開いたカジュアル版のお店「ソンセーズ・パージュ」。モダンな印象の店内。無垢の木のテーブル、抑えた照明にも温かみがあって、リラックスした雰囲気の中でおいしい時間を過ごすことができる
パージュ
定番、その日のスペシャルとメニューの数は多い。写真は一例。右上からフライドポテト、以降時計回りにイベリコハム、特製のつくね、まぐろのタルタル、からあげ、中央左は丸ごとフライのブロッコリー、右は3週間熟成させた牛肉ステーキ、上段左から特製ソースのアボカドサラダ、焼きおにぎり、えびの天ぷら
 旅では、その土地ならではの歴史や文化、味を五感で吸収することができます。自分の中に新しい知識が増えていくことは旅ならではの魅力です。けれども、同時に、自分が生まれた国や国民性のすばらしさ、魅力を再認識できることも旅の賜物だと思います。

 中村さんが自らの経験で紹介しているお店は、お腹はもちろんのこと、なんだか心も豊かにしてくれそうです。

<撮影/武田正彦 現地コーディネート/鈴木春恵 文/女子SPA!編集部>

【中村江里子】

本名:エリコ・バルト/1969年東京生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、フリーに。2001年にバルト氏(化粧品会社経営)と結婚、パリに暮らす。現在は3児の母で、パリと東京を往復しながら各メディアで活躍中。ライフスタイルブック「セゾン・ド・エリコ」シリーズ、近著『パリのおうち時間』 Instagram:eriko.nakamuraofficial、オンラインショップ「中村江里子セレクション Avenue du KIKI」