不倫問題を起こした歌舞伎俳優は枚挙にいとまがないが、その中でも中村芝翫は4度も不倫疑惑を報道された“常習犯”で知られる。そのたびに、笑顔でメディア取材に受け答えする妻・三田寛子の「神対応」が話題になってしまうが、離婚問題に発展することはなく、仕事への影響もほとんどない。ある意味で「いつものこととして許されている」といえるだろう。

 隠し子が発覚した歌舞伎俳優も多く、松本幸四郎は「市川染五郎」時代に、市川團十郎は「市川新之助」時代にそれぞれ隠し子がいることを報じられている。2011年に隠し子が判明した片岡愛之助は、藤原紀香と結婚した2016年に「隠し子の母親から認知を求められた」とし、認知したら養子として入った片岡家の問題にもなることから「愛之助側が白黒つけるためにDNA鑑定を求めた」などと伝えられて大きな騒動になった。ただ、これらの隠し子騒動も、彼らの歌舞伎俳優としての活動にはほとんど影響していない。

 昨今は芸能人が不倫騒動で仕事をすべて失ってしまうようなケースが多々あるが、影響の少なさを鑑みるに歌舞伎界はやはり特殊な世界なのだろう。もっとも不倫や隠し子については「当事者同士の問題であって外野がどうこう言うことではない」との見方もあるが、同じく歌舞伎界で横行していたとされるセクハラやパワハラとなると、コンプライアンス意識が高まっている現代ではそうもいかなくなっている。