そんなオープニングに象徴されるように、全体的にテンポの良さを感じた。過去の『27時間テレビ』では出演者が進行を無視して延々と遊び続ける時間があったものだが、そんな時間は今回あまりなかった。次々と出てくるスゴ技素人、次々と出てきて歌う歌手、瞬時に出る生クリーム砲、瞬時に出てくる画面上のテロップ、特に400m走サバイバルの画面は収録での通常放送と見紛えるような映像だった。時代にあわせた演出だったのだろう。
昔のフジテレビみたいで面白かったという感じと、新しく進化していて面白かったという感じ。そのどちらも感じた。理想的ではないか。
楽しいを塗りかえろ。そんなフレーズが何度か出てきた今回の『27時間テレビ』。フジテレビの『笑っていいとも!』や『SMAP×SMAP』、『めちゃ×2イケてるッ!』や『とんねるずのみなさんのおかげでした』といった番組が立て続けに終わったときには、同局のバラエティ番組それ自体の終焉といった言説が繰り返された。『いいとも』のグランドフィナーレは「テレビの最終回」とも評された。SMAPが“生前葬”の設定でオープニングを行った2014年の『27時間テレビ』には「テレビの葬式」といった声もあったと記憶する。そんな記憶が、今回まさに塗りかわる感じがあった。過去のあれこれを継承しつつも更新し、次の世代にバトンが受け継がれた感があった。
今年の『27時間テレビ』が面白かった。そして、これからも面白そうだ。テレビ好きとして、そう言えることが改めてうれしい。